マネー研究所

カリスマの直言

米国発株安 上昇トレンドは変わったのか(藤田勉) 一橋大学大学院特任教授

2018/2/12

米ダウ工業株30種平均は2月5日に史上最大の下げ幅を記録した=123RF
「米国株はもともと世界の中でも上昇率が突出していた。今回の調整は想定の範囲内だ」

今月に入って世界は米国発の同時株安に見舞われた。米国の長期金利上昇がきっかけとされるが、筆者は早晩、米国株を中心に再度株高に向かうと予想する。その最大の根拠は米トランプ政権の経済政策が米企業の成長力を大いに高めると期待されることである。

筆者はかねて相場の乱高下への備えを説いてきた(詳しくは2017年8月14日付コラム「世界株高に感じる黄信号 乱気流に備えよ」を参照)。その点で、今回の調整は想定の範囲内であり、基本的に相場の上昇トレンドが変わったとは考えていない。

■米国株はもともと上昇率が突出していた

そもそも、2月5日に米ダウ工業株30種平均が「史上最大の下げ幅」(1175ドル安)を記録したといっても、「下落率」では4.6%にすぎない。ちなみに、ダウ平均の史上最大の下落率は1987年10月19日(ブラックマンデー)の22.6%である。筆者はこの歴史的暴落相場を現地で間近に見ていたが、大変な衝撃であった。

また、2008年のリーマン・ショック時には最大で7.9%下落(08年10月15日)したことがあった。それと比較すると今回の下落率はとても小さい。

米国株はもともと世界の中でも上昇率が突出していた。過去10年間(08~17年、17年はIMF予想)の年平均経済成長率は米国が1.4%、日本が0.5%、欧州(欧州連合)が0.9%と大差ない。しかし、同期間の株価上昇率は米国(S&P500種)が82%と、日本(東証株価指数)の23%、欧州(ブルームバーグヨーロッパ500指数)の0%を大きく上回る。

この間の世界の株式時価総額増加額上位を見ると、1位はアップル(増加額76兆円、1ドル=110円換算)、2位はアマゾン・ドット・コム(同58兆円)、3位はグーグルの持ち株会社のアルファベット(同56兆円)と米国のIT(情報技術)企業が占める。企業の収益力を示す自己資本利益率(ROE、17年)は米国が13.2%と、日本の8.9%、欧州の10.0%を大きく上回る。つまり、米国経済成長率は低水準だが、米国企業の国際競争力が圧倒的に高いので、米国株は大きく上がったのである。

■株価を決定するのはマクロではなくミクロ

株式投資は企業の発行する株式を買い付けるものである。株価を決めるのはマクロ経済ではなく、ミクロの力なのである。今後、以下のように、トランプ政権の経済政策の効果が表れるにつれ、米国企業の成長力はさらに高まることだろう。

マネー研究所 新着記事

ALL CHANNEL