長期投資が報われる理由 知れば相場急変も怖くない積立王子のヤング投資入門(11)

さて、つみたてNISAはどうでしょう。これは制度に参加した多くの投資家が長期の積立投資を通じて成果を得て、将来の経済的自立につなげてもらうのが目的です。それは当然、奪い合いのゼロサムではなくプラスサムの長期投資でしか実現されません。そして、長期投資におけるリターンの源泉は「成長」でしたね。ということは、これから成長しそうだと思える投資対象を選ぶことが必須条件になります。

成長しそうな銘柄や国はどう選ぶ?

それでは、長期的な成長軌道を見いだせる投資対象とは何でしょうか? 先述の通り、これまで米国経済はそれをしっかり実現してきました。そしてこれからも米国はその軌道を維持できる可能性が高く、投資先として米国株式市場を選ぶ蓋然性は充分にあるでしょう。では日本は? 初回に「積立王子が一喝 『みんなの危機感は甘すぎるぞ!』」で書いた通り、残念ながら日本経済は過去20年においてまったく成長できていません。現状の潜在成長率も1%未満と、成長力の点では先進国中で最低です。日本を主な投資対象として選ぶのは合理的だとはいえません。となればインド? やはりASEAN(東南アジア諸国連合)? いやそれともアフリカかな、とだんだん投機的になってきてしまいますね。

しかしつみたてNISAにおいては、どこが一番成長するかを当てにいく必要はありません。金融庁も国際分散ポートフォリオ、つまり世界経済全体の成長に分散投資するのが合理的だとして推奨していますし、私自身も以前からそれを提案しています。先のことは誰にもわかりません。だからこそ、日本を含めた世界全体の成長軌道をリターンの源泉とすることは、極めて合理的だと言えるのです。

取引する金融機関を選ぶにあたっては、こうした「国際分散投資ができる商品」があるかどうかが最初の判断基準となりそうですね。ネット証券には「つみたてNISA」対象ファンドの大半がそろっていますが、逆に銀行は数本~10本程度に絞り込んだメニューとなっています。対象ファンドの中で、信託報酬の額(単に安ければいいとは限りません)などにも注意しつつ、最終的に自分が20年間投資し続けていきたい商品を選びます。そしてそれを扱っている金融機関に口座を開く、という流れになります。

次回はつみたてNISAの販売金融機関(銀行・証券会社など)の足元での取り組みや、その本音部分に触れつつ、ヤング投資家の金融機関選びをさらに深掘りしていきましょう。

中野晴啓
セゾン投信株式会社代表取締役社長。1963年生まれ。87年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用等を手がける。2006年セゾン投信(株)を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事。一般社団法人投資信託協会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを行っている。『預金バカ』など著書多数。
近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし
近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし