「日経ヴェリタス」創刊以来の名物コラム。毎回1人の個人投資家を取り上げ、その人の投資歴の泣き笑いを赤裸々に紹介しています。
今回はミスターマーケットさん 30代半ば。家の電気を新電力に切り替えて節約に努める。趣味は海外旅行とブログ運営。
今回はミスターマーケットさん 30代半ば。家の電気を新電力に切り替えて節約に努める。趣味は海外旅行とブログ運営。
2004年~

滋賀県の山奥から上京し、大学に入学した。憧れの東京で一番感動したのが、サイゼリヤ(7581)のミラノ風ドリアだった。こんなに安くてうまいものがあるとは知らなかった。実は当時、酒やタバコと同じく「株取引も20歳から」と勘違いしていた。晴れて成人を迎え、バイトでためた13万円をサイゼリヤ株につぎ込んだ。
大学OBには2人の大物財界人がいる。キヤノン(7751)会長の御手洗冨士夫氏と、セブン&アイ・ホールディングス(3382)会長だった鈴木敏文氏だ。両巨頭の講演に心酔して株も買った。
08年~
金融機関に就職したものの、リーマン・ショックに見舞われる。「資本主義が終わった」と感じ、金融業にも嫌気が差した。銀行を辞めて無職になったが、保有株を手放す気にはならなかった。そもそも投資歴が浅く、自分の人生が破綻するほどの損失を出したわけではなかった。それに御手洗氏や鈴木氏の経営手腕に狂いが出るとも思えず、そのまま株を持ち続けても大丈夫な気がした。
2012年~
地元のメーカーに再就職が決まり、株を買い増す余裕ができる。とにかく景気変動に強い銘柄を探し回り、米国のコカ・コーラやマクドナルド、スターバックスコーヒーなどの株式を買った。米国人たちの巨大な胃袋を想像するだけで、米国の食関連銘柄に食指が動いた。
17年~
米国株より英国株の方が配当にかかる税金が安いと知り、ユニリーバ株などを買い増す。現在の運用資金は約1500万円で、これが5000万円になったら今の仕事をやめようと思う。「市場経済の変動に左右されるな」と自らを戒める意味で、皮肉っぽく「ミスターマーケット」を名乗ることにした。今後も食や医療といった、暮らしの原点に密着した銘柄に投資を続けていきたい。
[日経ヴェリタス2018年2月4日付]