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分煙されない職場で上司がタバコ マタハラになる?

日経DUAL

2018/2/15

上司のタバコがつらい。マタハラになる?
日経DUAL

 子育て世代に起こりやすいトラブルの実例とその対処法を、弁護士法人・響の徳原聖雨弁護士に伺います。今回は、妊娠・出産に関する職場でのトラブル。妊婦を悩ます「マタハラ」、男性の育児参加を阻む「パタハラ」などについて聞きました。

◇  ◇  ◇

■CASE1 分煙化が進んでおらず、上司のタバコがつらい。マタハラになる?

 Q 妊婦です。小さな事務所で働いているため、分煙化などが進んでおらず、所長のタバコがつらいです。やめてほしいと何気なく言ったのですが、聞き入れてもらえません。もし私が体調を崩しても、タバコってマタハラになったりしないのでしょうか。仕事を辞めるしかないですか。

 A マタニティー・ハラスメント、いわゆる「マタハラ」とは、妊娠・出産などをきっかけとして、会社が従業員に対して解雇や降格などの不利益な取り扱いをすることをいいます。しかし、それだけではなく、妊娠・出産にあたって職場で受ける精神的・肉体的なハラスメントも含まれます。

 ご相談者様の状況は、妊婦の前でタバコを吸うということは妊婦に対する肉体的な攻撃にもつながります。すなわち、マタハラに当たるといえるでしょう。

 男女雇用機会均等法においては、妊婦に対して不利益な取り扱いをすることを禁止しています。この場合の不利益な取り扱いとは様々ありますが、厚生労働省の告示によると、就業環境を害することも含まれます。所長がタバコをどのような状況でどのような場所で吸っているかにもよりますが、場合によっては、就業環境を害するものとしてみなされ、法律違反といえるかもしれません。

 お仕事を辞める前に、まずは弁護士などにご相談されてみてはいかがでしょうか。

■CASE2 第二子出産後に転職するかも、と漏らしたら退職を迫られた

 Q 第一子の出産後、面談で将来のキャリアプランを聞かれたので「第二子がそのうち欲しいし、もし第二子を出産したら、復帰して1~2年後には転職も考えたい(家から会社が遠いため)」と正直に答えました。そのときは上司には何も言われず、その後、異動しました。そして第二子を妊娠。そうしたら上司から呼び出され「第二子を出産後、辞める気持ちがあるなら、産休・育休を取らずに退職するように」と言われました。育休取得後、短期間働いたのち退職するのは違法なのでしょうか?

 A こちらも、前記と同じく、マタハラの問題ですね。ご相談者様の同様の状況、すなわち産後での解雇についてお話しします。

 産休とひとことでいっても、その中身として、産前休暇・産後休暇のふたつがあります。労働基準法(以下、「労基法」)によりますと、産前の休暇は本人の請求により出産予定日の6週間前から認められるのに対し(双子以上の場合は14週間前)、産後の休暇は本人の請求に関係なく産後8週間が認められます。

 そして、労基法によると、原則として産休中およびその後の30日間の解雇が禁止されています。また、妊娠中や産後1年以内の解雇は、会社が、妊娠・出産・産休を取得したことなど以外の正当な理由があることを証明できないかぎり、無効となります(男女雇用機会均等法)。

 これらの法律の仕組みからすれば、会社がご相談者様を辞めさせようとするのは違法の可能性が高く、だからこそ自主退職を勧めてきているのだと思われます。ご相談者様が育休(今回の場合でいうと産休とみるほうがいいかもしれません)取得後に、短期間働いた後に退職するのは違法ではないでしょう。

■CASE3 男性、育休を取らせてもらえないのは違法?

 Q 男性です。育休を取得したら降格になりました。同僚は、育休自体を取らせてもらえませんでした。男性育休はまだ、会社に断る権利があるのでしょうか。降格などの不当扱いを指摘するとき、女性と男性で違いはありますか。

 A ご相談者様のような状況は、いわゆる「パタハラ」と言われるものですね。パタニティー・ハラスメントの略で、「マタハラ」の男性版といえます。父親とは働くべきだ、などあるべき姿を決めつけて、育児参加を阻むものです。

 男性の育休取得については、その取得率の低さが問題となっています。2016年度では、過去最高になったとはいえ、3.16%にすぎません。取得したとしても、その期間も短いと言われています。

 育休は前提として、男性であっても女性であっても取得できます。育休対象者は、子どもが1歳に満たない場合(場合によっては、最長1歳6カ月まで)というように育児・介護休業法(以下、「育休法」)で定められています(期間を定めて雇用されている方の場合にはまた別途要件が必要です)。申し出により育休の取得が可能であり、産後8週間以内の期間に育休を取得した場合には、特別な事情がなくとも申し出によって再度の育休の取得が可能です。

 育休法では、労働者から育休の申し出があったときは拒むことができない、とされています。ですので、ご相談者様がおっしゃるような会社に断る権利はないといえるでしょう。もっとも、例外もありますし、場合によっては、会社から育休の開始予定日を指定されることもあります。

 また、育休法では、育休の申し出をしたことや育休を取得したことを理由に、労働者に不利益な取り扱いはしてはならない、ともされています。前述した通り、育休については、男性であっても女性であっても同様です。ですので、ご相談者様が育休を取得したことを理由に降格されたとなれば、育休法に反することになります。

徳原聖雨
 弁護士。東京・大阪・名古屋・神戸・福岡に拠点を持つ『弁護士法人・響』所属。子どもの権利委員会、法教育委員会、消費者委員会、精神保健委員会所属。交通事故・労働・離婚・相続・借金問題など民事案件を主に扱う。根っからの子ども好きで、積極的に自ら動き、相談者の「もやもや」を「くっきり・はっきり」させることで不安を解消し、笑顔を取り戻す、気さくで身近な弁護士。テレビや雑誌、新聞などメディア出演も多数。フジテレビ「バイキング」にもレギュラー出演中

[日経DUAL 2017年12月11日付記事を再構成]

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