「東大に一番近い」筑駒のOB 先端技術の旗手に次々

瀬尾氏の後輩にも先端技術の世界で活躍する異才が少なくない。1学年下で、ロボティクス開発のイクシー(東京・中央)代表だった近藤玄大氏は東大大学院からソニーを経て独立。現在はソニーに復職して、研究を進める。手のない人が直感的に操作できる電動義手の開発で注目を集めている。瀬尾氏の3学年下の高橋直大氏は、競技プログラミング界の代表的な存在だ。

瀬尾氏も学んだ東京大学医学部

もともと筑駒OBは研究者や官僚になる人が多かったが、2000年以降は起業などを通じて、先端技術の旗手となる人が増えている。大野副校長によると、「筑駒愛」が強い冨山氏は、後輩に「起業家になろう」と呼びかけているという。

筑駒の林久喜校長(筑波大学教授)は「とにかく自由な学校で、これという校則もない。ちょっと個性的で、もしほかの学校だったら、浮いたり、いじめられたりしていたような生徒でもこの学校の生徒はそれを個性として容認するムードがある」という。

受験校といわれるが、「特別な受験対策をやることはない。そんなことより個性や教養を伸ばす教育を重視している」(林校長)という。

17年夏、文部科学省の有識者会議は、国立大学の付属校がエリート化し、本来の役割を十分に果たせていないとして、学力テストではなく、抽選で選ぶことなどを求める報告書をまとめた。しかし、大半の筑駒OBは「そんなことをしたら、筑駒らしさが失われる」と反発する。

瀬尾氏は「小学校時代はトップの成績の生徒ばかりが集まっていますが、筑駒に入ると、上には上があると実感します。テングになったり、勘違いしたりする暇なんてありません。勉強ができるだけではダメで、さらに何かプラス要素がないと仲間内で認められない。刺激し合って切磋琢磨(せっさたくま)するだけでなく、行事も盛んで、生徒の数も少ないので一体感があり、アットホームな雰囲気もある。貴重な学校だと思います」と話す。

17年の東大合格者数では、首位の開成高校が161人で、2位の筑駒は102人。ただ、1学年あたりの定員は開成が400人に対して筑駒は160人のため、東大への合格率では筑駒が全国トップだ。筑駒は東大駒場キャンパスから徒歩10分の至近距離にあるが、名実ともに東大に一番近い進学校と言えそうだ。

首都圏では筑駒以外の国立大学付属校の進学実績は伸び悩んでいる。「開成など有名私立校は資金力もあって不動ですが、国立校は予算が限られ、施設も老朽化し、優秀な生徒を集めるのが徐々に難しくなっています。しかも日比谷高校など都立高校の進学実績が復活しています。都は豊富な予算があります。筑駒は国立校の最後の砦ですね」(高校関係者)という。

先端分野の起業家や技術者を次々輩出している筑駒。今も先輩と後輩がつながり、協力し合ったり、競い合ったりしている。異才たちの母校は、その特色を守れるのか。全国の教育関係者が注目している。

(代慶達也)

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