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タレカツ、洋風… 新潟のカツ丼、明治開港の歴史映す

カツ丼礼賛(13)

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NIKKEI STYLE

新潟のカツ丼というと、新潟市のタレカツ丼が最もよく知られた存在だろう。しょうゆベースの甘辛いたれで味付けられたカツがそのまま丼飯の上にのる。カツはとんかつのように1枚のカツを切ってのせたものではなく、薄い大きいカツを複数枚のせる。

タレカツ丼の発祥は新潟市古町の「とんかつ太郎」。昭和初期の屋台から始まったそうだ。公式ホームページによれば「初代の小松道太郎は、当時モダンな料理だったカツレツを大胆にもしょうゆダレにくぐらせてご飯の上にのせて提供」したとある。

新潟は1858(安政5)年の日米修好通商条約で横浜、神戸、函館、長崎とともに開港された「開港5都市」の一つだ。新潟の西洋料理の歴史は古く、洋食文化も早くから花開き、ポークカツレツも明治期にはすでに提供されていた可能性が高い。

「とんかつ太郎」創業時の昭和初期は、まだやっと厚いとんかつが産声を上げた時期で、新潟でも薄く揚げ焼きするポークカツレツが一般的だったはずだ。だからこそ、薄いカツをどんぶりにのせた形が現在まで残っているのではないかと想像してみる。福井同様、新潟も分厚いとんかつ誕生前のカツ丼だったのではないだろうか。

「とんかつ太郎」で修業し、昭和40年に独立して開業したのが「とんかつ政ちゃん」。カツ丼専門店も含め、新潟市内に複数店舗を構えるタレカツ丼の人気店で、タレカツ丼と命名した店としても知られる。

甘辛いしょうゆだれに薄目のとんかつが複数枚のるだけのシンプルなビジュアルだが、新潟産のご飯と絶妙に合う奥行きのある味。食べると癖になりそうな、さすがに地元の人気店。かなり様々なメニューも研究されているようだ。

駅に近い人気洋食店「ぐりるかんだ」は昭和49年創業の老舗。たれカツ丼はかなりボリュームがあるが、ペロッとイケてしまうくどくない軽さがある。

カツはヒレ肉を使っているとのことで本当に柔らかく、ジューシー。たれは甘辛いおかきのような風味があり、このたれがまた絶妙に米どころ新潟のご飯に合う。

新潟市内ではないが、少し変わったタレカツ丼がある。県北部・関川村の「レストランメイク」だ。創業40年ほどという精肉店直営の店。薄目だが、わらじのような大きなカツが2枚のったヒレカツ丼。肉はかなり柔らかく、なかなかぜいたくだ。

甘辛い味つけにショウガだろうか、アクセントのきいたおいしいたれで、特徴的なのは半熟ふわふわのいり卵が添えられていること。卵自体は軽い下味のみで、上からたれがかかっている。昼時はかなり混んでいて、ヒレカツ丼率が高いことから人気メニューであることがわかる。

目玉焼きがのっているたれカツ丼もある。

見附市の「レストハウス道草」はジャズがかかる店内で昭和な雰囲気。40年近くやっているとのことだ。天丼風の甘辛いタレはご飯に合う。個人的には、目玉焼きがもう少し半熟だとより好みだが、地元人気店の評判のメニューなので、これはこれでいいのだろう。

県内人口第2位の都市、長岡にも個性的なカツ丼がある。洋風カツ丼だ。

カツ丼という名前だがご飯にとんかつ、上からたっぷりとソースがかかる皿盛りの料理は、普通に見ればカツライスである。洋風カツ丼の発祥は「小松パーラー」。昭和6年創業で、長岡で最初の洋食店だったが、残念ながら2006年に閉店してしまっている。

長岡に洋風カツ丼というハイカラなメニューが根付いたのは、新潟市でタレカツ丼が誕生したことと同様、江戸時代から異国の文化を受け入れてきたという歴史的背景と無縁ではあるまい。洋食といえばデミグラスソースが思い浮かぶが、長岡では小松パーラーの流れをくむ洋食店ではケチャップ系ソース、大衆食堂ではデミグラス系ソースを使っているといわれている。

普通に考えれば逆のような気がするが、小松パーラーの独特のソースを作れるのがそこで修業したシェフのいるお店だけであり、そのソースをケチャップ系としたため、それ以外を、デミグラス系と分類したのだろう。

「レストランナカタ」は創業40年以上で、地元ではカレーの名店として知られているが、小松パーラーの洋風カツ丼の味を引き継ぐ店。ケチャップベースのソースとデミグラスソース、どちらの洋風カツ丼も味わえる。

ケチャップベースのソースはミルキーな優しさを感じる。長岡を代表する老舗洋食店の一つで、小松パーラーの2代目店主とこちらの創業者は兄弟弟子のような関係だったそうだ。

もう一店、小松パーラーの味を受け継ぐ店がある。「松キッチン」だ。創業は2011年と新しいが、同店で修業経験のある2人が、元祖の味を復活したいと開店し、地元でも人気を博している。

ソースはみたらしだれのようなしょうゆの風味をわずかに感じる甘酸っぱい味。ごはんとキャベツにウスターソースがかかり、十字に切られたポークカツレツ風のカツをのせ、ファミリーソースと呼ばれるオリジナルソースがかかる。リーペリンソースという本場のウスターソースが一緒にテーブルに置かれるが、これはお好みでかけるようだ。

新潟の2大カツ丼の他に、個店でユニークな具のカツ丼がある。見附市の「満腹ホール」のカツ丼は一見普通のカツ丼だが、具に白滝が入っている。かなりいろいろなところでカツ丼を食べてきたが、具にタマネギと白滝というのは初体験だった。

調べてみると、近隣の店でも白滝を使っていたところがあったが現在は閉店。確認できたのはこちらのみだ。親子丼に白滝を入れるというのを聞いたことがあるが、こちらの親子丼に白滝が入っているかは未確認。それにしても珍しい具ではあるが、味のしみ具合や食感など、個人的にはありだと思う。

上越市の「七福食堂」は昭和47年創業で、タウン誌で紹介されるなど地元の人気店。デカ盛りでも有名で上越最強の食堂と呼ぶ人もいる。カツ丼にはタマネギの他、長ネギ、タケノコ、シイタケと北海道にありそうな具のラインアップなのだが、タケノコは根曲がり竹と呼ばれる細いたけのこを使っている。根曲がり竹は地域によっては姫竹とも呼ばれ、竹ではなくチシマザサのタケノコだ。

根曲がり竹がカツ丼に入ること自体はかなり珍しいが、隣接する北信州には根曲がり竹とサバ缶の味噌汁が定番の食文化として存在することを考えると、あって不思議ではない。それほどバリエーションはないと思っていた玉子とじカツ丼だが、まだまだ未知の具入りのものがあるかもしれない。

(一般社団法人日本食文化観光推進機構 俵慎一)

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