恋人と離れずに ワークスの「アジアIT新卒」獲得術

ワークスが採用する海外の新卒者の年俸は、出身地域に関係なく600万円だ。シリコンバレーのIT企業とまではいかないものの、非常に高い水準だ。そんな収入を蹴る大きな理由は、「家族や恋人」なのだという。成沢氏は「これとは逆に、米国の大学を卒業して米国企業からのオファーもあったが、親のために中国に帰るといって当社の上海拠点に入った人もいる」と明かす。「エンジニアを採用するため、ほかの都市に拠点をつくることも真剣に検討する」(成沢氏)構えだ。

海外の人材に「日本で働く」を求めるな

AI(人工知能)やあらゆるモノがネットにつながる「IoT」、ビッグデータを活用する技術に企業が注目するなか、IT人材の需要は高まる一方だ。日本企業は、採用の活路を海外に求めるしかないのだろうか。日本の理系学生にも優秀な人がいるのでは? 成沢氏に尋ねてみると、「いると思う。ただ、そもそもの絶対数が少ないのではないか」。米国はもちろん、中国やインドの大学では、IT人材を育てる専門教育が進んでおり、輩出される人材の数が圧倒的に多い。

「IT人材の育成で後れを取っている」という問題意識は、日本の大学側にも強い。早稲田大学の鎌田薫総長は、「今後、データサイエンティストなどのIT人材の育成を重点的に強化する」と話す。17年にデータ科学総合研究教育センターを設立し、産業界と連携して人材の育成を目指している。"

優秀な人材採用に向け、海外での拠点を拡大するワークスアプリケーションズの牧野正幸CEO

現在、日本企業が必要なIT人材を確保しようとすれば、海外に活路を求めるのが早道だ。ただ、成沢氏によると、インドやシンガポール、中国で採用活動をするなかで日本企業の採用担当に会うことはまれだ。海外での採用に熱心なのは、楽天など一部のIT企業に限られるとみる。日本企業の海外での採用がうまくいかず、熱意も乏しい理由について、成沢氏は「日本語の習得や日本人と一緒に日本で働くよう求めてしまうからではないか」と分析する。世界で引く手あまたとなっているアジアの優秀な人材に、「日本」を求めると母集団は大きく限られてしまう。

ワークスでも海外で採用をはじめた10年ほど前は、採用した人に日本で働いてもらっていたが、限界を感じたそうだ。「優秀な人材を獲得するには、海外エンジニアが働きやすい環境づくりが最優先」(成沢氏)と考えると、働く場所を日本に限るのは、もう無理なのかもしれない。

(松本千恵)

管理職・ミドル世代の転職なら――「エグゼクティブ転職」

5分でわかる「エグゼクティブ力」
いま、あなたの市場価値は?

>> 診断を受けてみる(無料)

「エグゼクティブ転職」は、日本経済新聞社グループが運営する 次世代リーダーの転職支援サイトです

NIKKEI 日経HR


今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
注目記事
今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら