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蚊は叩こうとした人間を覚える 学習能力を初解明

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/2/10

ナショナルジオグラフィック日本版

血を吸う蚊(Photograph by Joel Sartore, National Geographic Creative)

 今度、蚊が血を吸おうと腕に止まっているのを見つけたら、絶対によく狙った方がいい。もし叩き損ねたとしても、その蚊が次にあなたを狙わなくなる可能性があるからだ。

 蚊に刺されそうなときに叩くと、蚊は死にそうになった体験とその人の匂いを結びつけて覚え、将来その人を避けられるようになるという研究結果が発表された。2018年1月25日付の学術誌「Current Biology」に掲載されたこの論文は、刺す相手についての学習能力が蚊にあることをはじめて示したものだ。

 「パブロフの蚊みたいなものです」。論文の主要な筆者であるジェフ・リッフェル氏は、合図があると条件反射でヨダレを出すようになった有名な犬の実験になぞらえる。

 実際のところ、米ワシントン大学の神経生態学者のリッフェル氏が試したのは、この犬の場合と同じ「古典的条件付け」という学習だった。

 蚊は、人間などのおいしい獲物から漂うある種の匂いに引き寄せられる。そこで、蚊には非常に魅力的な人間の匂いが漂う中で、ネッタイシマカが刺すのを邪魔するように、叩いた際に腕を伝わるのと同程度の小さな振動を20分間にわたり繰り返した。

 すると、蚊はその後24時間以上もこの匂いを避けるようになることがわかった。その効果は、害虫忌避剤ディートを用いた市販の虫よけスプレーと同じくらいの強さである。

 さらに、古典的条件付けによる関連性の学習には、脳内の神経伝達物質ドーパミンが関わっていることがわかっている。続けてドーパミンが機能していない蚊で実験を行ったところ、予想通り、このグループの蚊は特定の匂いが危険を意味することを覚えられず、以前と同じように飛び込んでいった。

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