マネー研究所

人生を変えるマネーハック

欲が最大の敵なり 金融商品でだまされないための鉄則 金融トラブルをマネーハック(1)

2018/2/5

写真はイメージ=123RF

今月のマネーハックは「金融商品でだまされないための鉄則」を考えます。金融商品は法律に基づいて適切に販売されている商品でも、しばしばトラブルになります。それでも合法的な商品は契約に瑕疵(かし)がある場合(販売業者が顧客の同意を得ていない、理解を得ていないなど)は、交渉によっては契約を無効とすることもできます。

問題は金融詐欺に遭った場合です。こうしたケースは金融商品そのものが存在しないことがほとんどだと思います。うっかりだまされてしまうと、お金はたいてい戻ってこないことになります。

■悪徳業者は常に新しい手口でだます

金融商品のトラブルは後を絶ちません。消費者庁や国民生活センターなどは流行の兆しをみせている詐欺的金融商品について注意喚起を行っていますが、悪徳業者は常に新しいやり口でだまそうとします。

例えば、高いリターンを約束し、投資を持ちかけてくるケースでは近年は仮想通貨の話題が増えているそうです。「仮想通貨のマイニング(採掘)に参加すれば、1口いくらで○カ月で元がとれる」といった誘い文句です。話に乗ってしまったら最後、お金は戻ってきませんし、事業の実態も存在しないことがほとんどです。

「2017年版消費者白書」では、レンタルオーナー契約に注意との記載があります。お金を払ってコンテナや太陽光パネルのオーナーになり、レンタル料でもうけるというもので、「元本保証は間違いなし」と説明されていたはずが、実際にはレンタル料すら戻ってこないケースがあるといいます。

昔からある光ファイバーのもうけ話など古典的な手法だけが、金融商品の詐欺ではありません。こうしたやり口は常に新手のものが出てくるということを、私たちは改めて肝に銘じる必要があります。

■投資話での失敗は大きな痛手となる

お金の失敗はいろいろありますが、投資話での失敗はダメージが大きくなります。その意味でも詐欺的な金融商品にはだまされてはいけません。

お店で「これは素敵(すてき)!」と衝動買いした服、通販番組をみてセールストークに感心して即決購入したアイテムは、しばしば失敗した買い物になります。しかし、こうした失敗は、それほど致命的にはなりません。金額は比較的少額なことが多いので、基本的にはコストパフォーマンスが悪い買い物をしてしまったというだけで済むからです。

使わなかった運動器具を物置の肥やしにしたり、フリーマーケットアプリで服を売ってしまったり、最悪捨ててしまったりすればおしまいです。

しかし、投資話での失敗は日常の買い物の失敗とは全く異なります。たいていの場合、少額では済みません。しかも「できればそれをより増やして将来に備えたい」という狙いがあって資金を投じるわけですから、これを全額損なってしまうのは大きな痛手となるわけです。

■他人事ではなく自分事として考える

詐欺的な金融商品を避ける方法を紹介するにあたって、まず読者の皆さんにお願いしたいことは「他人事ではなく自分事で考える」ということです。

いわゆる、オレオレ詐欺でもそれ以外の詐欺でも、被害者は好んでだまされているわけではありません。だまされた人は「仕組みについては理解したつもりだった」あるいは「この人なら信頼できると思った」などという言い訳を必ずします。

被害者をみて「あの人は失敗しても自分は失敗するはずがない」というのは、自信過剰(オーバーコンフィデンス)です。

行動経済学の研究成果の一つに自信過剰の問題がありますが、自分の自動車運転のスキルが平均より上か下かについて質問をすれば、統計上は必ず「平均より上が多数派」になるそうです。つまり、私たちは自分を「人より上」とみなしがちであるため、そういう結果が生じます。

詐欺的な金融商品の売り手は、あなたのそうした「おごり」の部分につけいってくるのです。

■だまされないためのキーワードを唱えよう

私は個人の消費者向けにこうしたトラブルを避けるためのセミナー講師をすることもあります。そのとき、必ず紹介するのは「いいカモ!と思ったら(あなたは)いいカモ!」という文言です。

講演の冒頭でこれをスライドで映すと誰でも笑います。そこで「それでは5回復唱してみましょう」といって、実践してもらうことにしています。興味深いことに最初は笑って復唱していた人が、5回目にはちょっと真面目な顔になります。

軽い気持ちで「いいかも」と思うこと自体が、詐欺的な金融商品の売り手につけいる隙を与える第一歩です。これはあなたを「いいカモ」に変えてしまうステップなのです。

この記事を今読んでいるあなたも、できれば声に出して「いいカモ!と思ったら、いいカモ!」と唱えてみてください。

あなたのもうけたいという欲の気持ちが実は最大の敵です。そして最終的にあなた自身の財産を守ってくれるのは、あなた自身の冷静な判断なのです。

マネーハックとは ハックは「術」の意味で、「マネー」と「ライフハック」を合わせた造語。ライフハックはIT(情報技術)スキルを使って仕事を効率よくこなすちょっとしたコツを指し、2004年に米国のテクニカルライターが考案した言葉とされる。マネーハックはライフハックの手法を、マネーの世界に応用して人生を豊かにしようというノウハウや知恵のこと。
山崎俊輔
AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に『誰でもできる 確定拠出年金投資術』(ポプラ新書)など。http://financialwisdom.jp

マネー研究所 新着記事

ALL CHANNEL