妄想癖に困っています
女優、ミムラさん
妄想癖がひどくて困っています。本や漫画の登場人物を好きになり、その人と自分との話を妄想してしまいます。最近は携帯のメモにその話を長々と書いて、自分の作った話なのにいつまでも楽しくて熱中してしまいます。もう大学生なのに、幼稚で恥ずかしいです。ずっと治らないかと思うと不安です。(東京都・女性・10代)
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私は作品を制作する側として、「お客さまの現実世界に食い込めたら最高」という思いで取り組んでいます。見た後に友人や家族と作品内容について話したり、ひとりでふと思い出したりしてくれたらとってもうれしい。その点で、相談者さんはよいお客さまです。妄想元となっている作品の作者も、きっと喜ばれるでしょう。
作品を受け取る側としても、共感します。相談者さんも私もオタク気質。なので私が過去に没頭していたある物との付き合い方が参考になりそうです。
私は8年前に一念発起して、ほぼ全機種持っていた"ゲーム機"をすべて人に譲りました。アプリのゲームを警戒して、スマートフォンも使用していません。相談者さんと同じように「このままでは不安」と感じたからです。制作側の人間は、良質の作品のため、常に多様な勉強を続けなければなりません。大好きなゲームをしながらその時間を確保することは私にとって難しかったので、思い切りました。
「幼稚で恥ずかしい、治らないか不安」という相談者さんも、何かしら具体的なデメリットを感じているのでは。あとはどちらが自分にとって大事なのか、真剣に考えてみてください。
一歩進んで、がっつり濃厚な時間を過ごすのも一案です。ご自分用の携帯メモの中だけでなく、もっとしっかり書いて本気で「創作」し、人にも読んでもらう。あるいは同じ趣味の人の作品を読んでみると、「もしかして、私ってうまい?」と自分の才能に気づき、職業として制作側を目指す道もあるかも。または「うわ、私のレベル低い!」と冷静になって立ち止まるきっかけになるかも。
「いやいや、人には見せられない!」というお考えであっても、「ひとり遊び万歳派」の私としては、続行を推奨します。まだ大学生。この先の社会にはいろんなことが待っています。そんな現実を歩むため、大好きな癒やしの世界を持つのも、現代人の知恵の一つと思うからです。
「今はそういう時期じゃない」と離れた愛しのゲームたちと、私がいつかヨリを戻す可能性もあります。今は時に身を委ねてみましょう。
[NIKKEIプラス1 2018年2月3日付]
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