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九州 味めぐり

白子と餅 組み合わせの妙を生む独創性 創作料理「花くし」

日本経済新聞西部夕刊

2018/2/8

 知り合いの陶芸家がふらっと訪れ気に入ったという店を紹介された。小倉北区の歓楽街、鍛冶町の真ん中にあるカウンター10席、座敷8席のこぢんまりとした店。寡黙な主人、川辺則之さんとチャキチャキ女将の絶妙なバランスが店の魅力を引き立てている。

 釣りが何よりも好きで、大阪から漁場の良い九州に移り住んで27年。和食も含め料理の修業の経験は全く無い。食べ道楽の家庭に育ち、大阪中の美味な料理屋に子供の頃から連れて行かれたという。うまい物の価値を知ったからこそ、食材の組み合わせのツボを捕まえている。食べることが修業だとも。イメージが常に沸いて、違う切り口があるのでは、と考案する毎日だ。

イラスト・広野司

 天然フグの白子が手に入る今の時期、試してほしいのが白子と餅。別々に焼いて組み合わせたものを、砂糖醤油(じょうゆ)で食べる。白子はポン酢、という固定観念が崩れ、驚きのあるおいしさがあった。

 コースは8000円と1万円の2コース。アラカルトもお客さんの顔を見て、体調を考えて出す。北九州の名産、合馬タケノコを焼いた一品は、まだ土の中で育っているうちに採ったものだから、柔らかく甘みが口に広がる。大阪でよく食べられるハリハリ鍋も水菜のシャキシャキとした食感がうれしい。そして鯖(さば)の棒寿司の美しさ……。

 新しい発見の数々。創作料理の話に夜がついつい更けてしまう。

(大迫 益男)

 〈はなくし〉北九州市小倉北区鍛冶町1の3の2 電話093・533・4775

食べ歩きが大好きな地元在住のライターや日経記者が見つけた九州・沖縄のとっておきの味を紹介します。

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