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がんを経験した医療経済学者が語る 「日米がん格差」

日経Gooday

2018/2/17

「日本では情報が少なすぎて、どう病院を選ぶかは本当に難しい」と語るアキよしかわさん
日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

大腸がんを経験した国際医療経済学者・アキよしかわさんが、その経験からがん治療の日米間の違いや患者として見た課題を『日米がん格差』(講談社)という書籍にまとめた。日本と米国の医療の違いはどこにあるのか? よしかわさんに、がん治療の経験から見えてきた「その差」について聞いた。

◇  ◇  ◇

よしかわさんは、10代半ばで単身米国に渡り医療経済学を学んだあと、カリフォルニア大学バークレー校とスタンフォード大学で教鞭を執る。学術面で活躍することにとどまらず、米国で医療コンサルティング会社を作り、日本でも会社を運営してきた。

そんなよしかわさんが大腸がんと診断されたのは、2014年。その後、日本で手術を受けて、米国で化学療法を受けた。医療分野の専門家として豊富な知識を持っていたとはいえ、病院選択プロセスでは多くの発見があったという。がんに立ち向かうときにどう考えたのか、病院をいかに選ぶかという点から日本でがんの治療を受ける上での課題を語ってくれた。

■がん医療の質を伝える情報が足りない

アキよしかわさんの著書『日米がん格差』

「がんと言われたとき、新しいチャレンジと感じました」。よしかわさんは、がん告知を受けた時をこう振り返る。

著書では自身が直面した問題をいくつも書いているが、中でも日本のがん治療で大きな課題だと感じたのはあらゆる面において「情報が表に見えないこと」と話す。

「日本では設備や症例数などで病院を格付けしている例はありますが、米国では、民間組織が全国の病院から設備に関する情報だけでなく、患者の生存率、術後死亡率、術後合併症率、入院期間、医療行為ごとのガイドライン準拠率といった治療実績に関する情報を集めて、公開をしてくれています。米国対がん協会という民間団体が中心となり、米国外科学会のがん部会であるCoC(Commission on Cancer)とともに、がん拠点病院から情報を集め、NCDB(米国がんデータベース)と呼ばれるデータベースを構築しているためです」と説明する。

米国の病院はCoCから「質の高いがん治療を提供する病院」と認定を受けるために、NCDBに対して統一したフォーマットでデータを提出する必要があり、病院は積極的にデータを出しているという。その上で、NCDBのスタッフはデータを分析。抜き打ちチェックまで行う。不正があったり、成績が悪かったりすると、病院はCoCの認定を喪失する。認定されないままだと、病院はがんの患者を集められず、他の病院に後れを取ることになる。だからこそ全国から詳しい情報が集まる。

データを集めて認定する目的の一つは、どこの病院でも同じ治療を受けられるように病院同士の競争を促すことだ。

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