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マンションの修繕積立金 適正水準と今後の上昇幅は? 不動産コンサルタント 田中歩

2018/2/7

写真はイメージ=PIXTA

マンションを購入する際に気になることの一つが修繕積立金です。分譲時には低く設定されていることが多いのですが、低いままでは建物や設備の中長期的な維持管理費用が賄えません。このため時間の経過とともに積立金の額が上がるのが一般的です。今回は購入を検討している新築マンションの積立金がどの程度上昇していくのか、買おうと思っている中古マンションの積立金は適正水準にあるのかなどを判断する際の目安を紹介します。

■国交省、積立金の目安を月額で示す

積立金の上昇は消費者にとっては不安材料です。この不安を解消する一つの目安が国土交通省のガイドラインです。ガイドラインは、新築マンションの購入を予定している人が積立金の水準を判断する際の参考になるよう額の目安を示しています。ただ、積立金の額は様々な要因でマンションごとに異なり、ばらつきも大きいのが実情です。このため、実際に作成されたマンションの長期修繕計画を国交省が幅広く収集し、それをもとに(1)平均値(2)幅(事例の大部分=3分の2を包含)――の2つで示しています。

なお、国交省が採用しているのは、新築時から30年間に必要な修繕工事費の総額を30年間で均等に積み立てる方式(均等積立方式)で、その積立額の目安を月額で示しています。(下の表)

■機械式駐車場の積立金も加算

また、マンションに機械式の駐車場がある場合、その修繕工事には多額の費用がかかるため、駐車場の積立金を「特殊要因」として加算しています。(下の表)

例えば、10階建てで延床面積が7000平方メートル、1台のスペースに3台の車を駐車できる3段(ピット2段)昇降式の機械式駐車場が50台分あるマンションの場合、購入を検討している部屋の専有面積が70平方メートル(共有持ち分は7000分の70=0.01)だとすると、新築時から30年にわたって毎月支払う積立金の目安は

平均値:月に1万4140円(1平方メートル当たり202円×70平方メートル)
 幅:月に9800円~1万8550円(1平方メートル当たり140円~265円×70平方メートル)

となります。

また、機械式駐車場にかかる積立金の目安は

月に3020円(1台当たり月に6040円×50台×共有持ち分0.01)

となります。

よって、このマンションが均等積立方式で積立金を集めているとすると、この部屋の積立金の目安は

平均値:月に1万7160円(部屋の積立金1万4140円+駐車場の積立金3020円)
 幅:月に1万2820円~2万1570円(部屋の積立金9800円~1万8550円+駐車場の積立金3020円)

と算出することができます。

■築30年までは積立金をイメージできる

ただ、ここで求めた目安は分譲時から30年目まで同じ金額で積み立てる均等積立方式を想定しているので、このままでは単純に目安とするわけにはいきません。冒頭で説明したように、新築マンションでは分譲時には消費者が購入しやすいように積立金を低く抑えているものの、次第にその金額が上がっていくのが一般的だからです。そこで次のように考えてみます。

30年にわたって毎年同じ額で積立金が上昇していくと仮定した場合、15年目の積立金は均等積立方式の積立金と同額になるはずです。仮に均等積立方式の積立金が月1万5000円とし、積立金が上昇するタイプのマンションの分譲時の積立金が月5000円だった場合、このマンションの積立金が上昇するイメージは下のグラフで示せます。

つまり、分譲時には月5000円だった積立金が、15年目には均等積立方式と同額の月1万5000円、30年目には月2万5000円程度に上昇することが予想できるのです。このグラフをイメージすれば、均等積立方式でないマンションでも、築30年までであれば積立金の目安をイメージできます。

もちろん、購入予定のマンションの積立金の額がこの目安の幅に収まっていないからといって、その水準が直ちに不適切であるというわけではありません。しかし、こうした方法で推定すると、新築マンションで今後どの程度の負担が発生するかがある程度わかりますし、中古マンションの積立金の水準を判断するのにも使えると思います。ぜひお試しください。

田中歩
1991年三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)入行。企業不動産・相続不動産コンサルティングなどを切り口に不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事。その後独立し、ライフシミュレーション付き住宅購入サポート、ホームインスペクション(住宅診断)付き住宅売買コンサルティング仲介などを提供。2014年11月から個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクションなどのサービスを提供する「さくら事務所」に参画。

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