「『めちゃイケ』出演後は、ダンサーも街で声をかけられるなど(笑)、想像以上の反響でした。バラエティ番組に不慣れなので自分がどう映るか不安はありましたが、岡村(隆史)さんの努力が払拭してくれました。ダンスにあれだけ打ち込んでくださるなら、僕も全力で応じるのが礼儀。一流の方々の姿勢を目の当たりにできたことは大きな収穫でした。

また、7月の野外フェス『ドリウタフェス2017』出演をきっかけに、DREAMS COME TRUEさんに『普通の今夜のことを‐let tonight be forever remembered‐』(17年9月配信リリース)を提供していただきました。お2人は世代を超えて愛される音楽を作り続ける探究心がすごい。最新作のタイトルが、『THE DREAM QUEST』なんですが、いまだに『クエスト』(=探求、冒険)しようという姿勢が前面に出ているんですよね。僕はもともといろんな人から影響を受けたいタイプ。その刺激をヒントに『三浦大知はそれをどう表現するか』を考えていくので、いろんな意味でいい出会いに恵まれた1年でした」

1つの転機となったという楽曲が『Cry&Fight』(16年3月発売)だ。無音の中でバックダンサーたちと一糸乱れぬダンスを『バズリズム』などの音楽番組で披露。その高度なダンススキルが話題となった。単にパワフルなだけでなく、華麗でしなやかなダンスで心をつかむ三浦。そのためにかなりストイックに体をいじめているのかと思いきや、意外な答えが返ってきた。

「『Cry&Fight』はここ最近、活動が広がるきっかけとなった楽曲です。以前からライブでは無音の中でダンサーたちと踊る演出は行っていました。リハーサル中にカウントを取りながら踊っていると、あうんの呼吸で音がなくても踊れる瞬間があるんですよ。そこで、『歌にアカペラがあるなら、ダンスも無音でやってみたら面白いんじゃないか』と。ダンスを見ることで音が聴こえてくるような演出をテレビで披露できたことで、多くの方に興味を持っていただけたのかなと思います。

ダンスや歌に関して、あまりルーティーンは作らないようにしています。かつてはライブ直前にダンサーと円陣を組み、背中を叩き合うのが恒例でした。でもある時、それができなかったんです。結果は…その日のライブがすごく良くて(笑)。ジンクスに縛られることはないんだなと思いました」

「三浦大知流」体の作り方

『BEST』 ソロデビュー曲『Keep It Goin’ On』からミディアムダンスチューン『U』までの全シングル24曲を網羅したシングルコレクション(3月7日発売/エイベックス/3200円・税別)

「体づくりも特別なことはせず、歌って踊って作ります。僕の感覚ですが、ダンスの筋肉と歌の筋肉をそれぞれ別に鍛えて、後からガチャッと合わせても『歌って踊る筋肉』にはならないのかなと。たとえば、腕の筋肉をつけすぎると声帯が伸びにくくなると感じたり。全身が楽器なのでどこか1カ所を鍛えてもバランスが取れないように感じます。年間約3分の1はリハーサルとライブの本番なので、おのずと体を作れているのだと思います。

食べ物に関しても、あまり神経質にならないようにしています。武井壮さんの考え方が好きなのですが、以前『内臓に負担をかけないために消化の良いものばかりを食べていると、内臓が甘える』と話されていたんです。ツアー先や海外など普段と違う環境では、いつもの食事が取れないことも多い。日常で気遣いしすぎて、いざという時にベストが出せないのでは本末転倒だなと。僕もできるだけナチュラルにそこにいて、常に最上のパフォーマンスを出せるようにしたいですね。

今までずっとライブや呼ばれた先々でダンサーやスタッフと一緒にベストを尽くしてきました。あまり飛び級できるタイプではないので、1段ずつ積み重ねてきただけです。今後についてもそう。ただ僕は曖昧で絶妙な心情を表せる日本語の可能性を信じているので、いい歌といいダンスに乗せてこれからも国内外に発信し続けていきたいと思っています。

また、日本にはいいダンサーがたくさんいるのでその活躍の一助になれたらと。今やダンスは学校の授業でも習うし、スクールもたくさんあって間口は広がりましたが、それに対して出口が狭いなと感じます。もったいないですよね。おこがましいですけど、『三浦大知と踊る』ことで親や社会に認められるというか…、そんな存在になれたら。そのためにもこれからも新しいチャレンジを続けていきたいですね」

(ライター 橘川有子)

[日経エンタテインメント! 2018年2月号の記事を再構成]

エンタメ!連載記事一覧