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公的保険使えぬ「先進医療」 特約で自己負担をカバー

日経マネー

2018/2/20

画像はイメージ=123RF
日経マネー

日本では保険診療と自由診療とを同時に行う混合診療は原則認められていませんが、公的医療保険の枠組みの中には部分的に混合診療を認める「保険外併用療養費制度」が含まれています。同制度は「選定療養」と「評価療養」とに分かれ、評価療養の一つが「先進医療」です。医療費のうち先進医療部分の費用は全額自己負担になります。

評価療養とは、保険診療に導入すべきかどうかを評価する段階のものです。先進医療の治療実績から効果や副作用などを検討・分析した結果、評価が確立されれば保険適用になり、効果が見込めなければ先進医療から外されます。

個人が加入する医療保険にも、「先進医療特約」を付加できるものが増えています。同特約の給付件数が多いのは、白内障の「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」。他の先進医療が大学付属病院など限られた医療機関で主に行われるのに対し、この水晶体再建術を実施する医療機関にはクリニックも多く、全国に広がっています。

先進医療専門家会議や国会では、この技術の保険導入に関する質疑が過去にありましたが、いずれも「有効性や効率性が十分に示されておらず、引き続き先進医療で実施されることが適当」との結論になっています。

2016年4月には、切除非適応の骨軟部腫瘍の重粒子線治療と、小児がんの陽子線治療が保険収載されました。それまで200万~300万円ほどかかっていた費用が原則3割の自己負担で済み、高額療養費制度も適用になります。

このように保険適用になった治療については、先進医療特約の対象から外れます。保険収載が認められなかったその他のがんの重粒子線・陽子線治療については、引き続き先進医療の枠内で臨床研究を行うことになりました。

■追加で保障得られる商品も

先進医療特約は医療保険やがん保険に付けるのが一般的。ただし1社1契約の制限があり、どちらに付けるかによって保障範囲が異なります。がん保険に付加する場合はがん治療に関わるもののみが保障対象。一方、医療保険に付加するとがん以外の治療も対象になります。先進医療の費用は高額とのイメージが根強いようですが、現在約100種類ある先進医療のうち、数万~数十万円のものが大半です。高額になりがちながん治療に絞るか、全ての疾患を対象とするかがまず検討のポイントです。

もう一つのポイントは、技術料と同額を保障するタイプか、技術料のうち自己負担額を保障するタイプか。患者の負担分を研究機関や製薬会社などが賄う場合もあることから、後者のような設計になっている商品もあります。通算支払限度額は2000万円が主流ですが、給付実績を見る限り、あまりこだわる必要はなさそうです。

特約としての利用が一般的な先進医療保障ですが、月額500円程度で単独加入できる保険商品も販売されています。特約に比べるとやや割高なものの、追加で保障を得ることが可能です。

内藤眞弓
生活設計塾クルー。13年間の大手生命保険会社勤務の後、FPとして独立。生活設計塾クルー取締役を務める。『医療保険はすぐやめなさい』(ダイヤモンド社)など著書多数。一般社団法人FP&コミュニティ・カフェ代表。

[日経マネー2018年3月号の記事を再構成]

日経マネー 2018年3月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)


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