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『半分、青い。』 高度経済成長期の終わり、子どものころに病気で左耳を失聴したヒロイン・鈴愛が、失敗を繰り返しながら困難を乗り越えていく物語。共演は松雪泰子、佐藤健、滝藤賢一ほか(4月2日より/NHK総合ほか)

『半分、青い。』は、『ロングバケーション』などの大ヒットドラマを手掛けた北川悦吏子によるオリジナル脚本作品。高度成長期から現代を舞台に、病気で左耳を失聴した主人公・楡野鈴愛(にれの・すずめ)がユニークな感性で大発明をする姿を描く。永野は2366人が参加したオーディションで、ヒロインの座を射止めたが、ただならぬ運命を感じたという。

「オーディションの場で初めて台本を読ませていただいたら、役名が『ひるなか~』と同じ『すずめ(鈴愛)』。名前に縁を感じて、『もしかしたら受かるんじゃないか』と思っている部分もありました。内容を読んでも、自分と重なる部分も多くて、すごくこの役をやりたいと思いましたし。それに、オーディションの参加条件が『10月1日時点で18歳以上』だったんですけど、9月24日生まれなのであと約1週間誕生日が遅いと受けられなかったんです。事務所の人も、『そういえば芽郁も受けられるじゃない?』って気がついたくらいギリギリの応募だったんです(笑)」

日々なんとかなる、と気負わないように

朝ドラの撮影は、すでに17年11月から岐阜県でスタートした。

「出演が決まって、いろんな方に『朝ドラの撮影は大変だから、体調に気をつけてね』と言われるんですけど、まだそれほどでもないです。むしろ、17年のほうが大変なスケジュールでした。『ひるなかの流星』『帝一の國』『ピーチガール』といった映画や、ドラマの撮影が密集していて、毎回違う役をパーンと切り替えながら演じていたんです。しかもその間に、前に撮影した作品のプロモーションもしたり。そんなスケジュールが1年近く続いたんですけど、今は朝ドラ1本なので(笑)。ずっと同じ役を演じる経験はないので、この先、何かがぶれて『鈴愛じゃなくなるんじゃないか』と迷う瞬間も出るかもしれないんですけど、でも大丈夫な気がする。新城監督との出会いや、大変だった撮影スケジュールなど、17年は朝ドラに向かう準備をさせていただいていたのかもしれないです。17年にお世話になった方々にちょっとでも恩返しできたらなと思います。

ただ、鈴愛は『なんとかなるでしょう』っていう性格で、私も日々なんとかなる、と気負わないようにやってます。岐阜での撮影初日、朝が早かったので、待ち時間にひなたぼっこしながら、ちょっとうとうとしてたら、プロデューサーさんに『朝ドラの撮影初日に寝た女優さんは、初めてかも』と言われました(笑)」

18年3月には高校を卒業予定。これまでは学園モノなどで「現役の高校生であること」を強みに演じてきたが、今後は演じる役もさらに広がりを見せそうだ。

「今は学校がメインですけど、進学するつもりはないので、社会に出ると環境が変わっちゃうのでちょっと怖いなあって。高校を卒業して20歳までの2年間は、私は何になるんだろう。もう子どもでもないし大人でもないし、微妙な時期だなと。

『半分、青い。』は高校生として最後に演じる作品で、高校を卒業して最初に私を見てもらう場にもなるんです。そして朝ドラが終わるとき(9月29日放送終了予定)は19歳になってる。いろんな節目が重なる作品ってなかなかないから、不思議な感覚です。まだ放送が始まってもいないけど、絶対に忘れられない作品になるだろうなと思います。18年と、18歳のすべてを朝ドラに注いで頑張ります」

(ライター 高倉文紀)

[日経エンタテインメント! 2018年2月号の記事を再構成]