――黒がお好きな理由は何ですか。
「ミニマル(最小限)なもので暮らしたり、質素で気取らなかったりという意味の『ミニマリスト』や『シンプリシティ』という単語があります。その2つの言葉は私という人間を的確に言い表しているように思うのです。ミニマリストであり、飾ることなくシンプルな生き方は私の理想であり、目指すべき自己スタイルでもあるのです。その2つの言葉をイメージさせる色。それが私にとっては黒なのです」
「『差し色』でファッションにアクセントを付ける方もおられますが、私は同系色でまとめる方が好きです」

■ワードローブを断捨離 スーツはわずか5着に
――昔から今のスタイルを貫いてこられたのですか。
「違います。実は今から7年ほど前、自宅のワードローブを大胆に断捨離しました。今はスーツが5着しかありませんが、それまではその5倍、全部で25着も持っていました。色味も今と違ってもっとカラフルなものが多かったのです」
「これまで私は、デル、ヒューレット・パッカード(HP)などでキャリアを積んできました。その中で『周囲や前任者とは違うことをやらないと評価されない』ことを学びました。7年ほど前といえば、私自身のキャリアの転機とも重なります。担当部門にとどまらず、広く会社経営全般に目配りしないといけない立場に変わりました」