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音楽番組『関ジャム』 「初心者」目線生かし、大反響

日経エンタテインメント!

2018/2/11

 『関ジャム 完全燃SHOW』(以下、関ジャム/テレビ朝日系)は、関ジャニ∞と支配人役の古田新太が、毎回様々なミュージシャンや音楽関係者をゲストに招き、マニアックな音楽トークや一夜限りのジャムセッションなどを繰り広げる音楽番組。番組プロデューサーの藤城剛氏は現役の『ロンドンハーツ』のディレクターで、『関ジャム』で初めて音楽番組に携わった。ある意味、音楽「初心者」であり、その目線を番組作りに生かしている。

『関ジャム 完全燃SHOW』(日曜23時10分/テレビ朝日系) 2017年6月18日放送回では、音楽プロデューサーの、いしわたり淳治(左)、蔦谷好位置(中)、tofubeats(右)が出演。「2017年上半期ベストソング」を独自の視点で紹介した

 藤城氏は「僕自身が視聴者の方に近い目線で向き合いながら、一方で『ミュージックステーション』兼任スタッフとも連携し、深い所まで掘り下げられているところが強みだと思います」と言う。

 企画会議には、主にバラエティ番組を担当する放送作家を入れているという。あえて素人目線を生かすことで、「BPM」「リズム隊」といった音楽業界では当たり前のように語られがちなことを、丁寧に拾うよう心掛けているそうだ。そこから、「ベースのスゴさとは?」「効果音の意味に迫る」「音楽大学で学ぶこととは?」のような、今までの音楽番組では取り上げてこなかった企画が生まれている。

■8ビートにザキヤマが挑戦

17年12月3日放送の「ドラム特集」では、ドラムの教則本も手掛けるピエール中野が、アンタッチャブル山崎にドラムをレクチャーした

 17年12月放送の「ドラム特集」では、ゲスト出演した凛として時雨のドラマー、ピエール中野に打ち合わせ時点でドラムを叩いてもらい、その様子をビデオで撮影。ドラムのすごさが伝わるネタを20個ほど出してもらったという。

 その1つが、ドラムの基本である8ビートの叩き方だ。両手足をそれぞれ違うリズムで刻む必要があるのだが、まずはピエール中野が実演した後に、ゲストで来ていたドラム未経験のアンタッチャブル山崎が挑戦。両手はできても、足を入れると急にうまくできなくなる様子に、スタジオは笑いに包まれた。

 「ミュージシャンのすごさを分かりやすく、しかも面白く伝えられるかという部分にこだわって作っています。そこをうまく引き出してくれるのが、関ジャニ∞であり、必ずゲストで1人入れているお笑い芸人さんです」(藤城氏)

日食なつこ 岩手県出身のピアノ弾き語りシンガーソングライター。16年10月16日放送回で取り上げられ、17年は『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』にも出演を果たした

 また、毎回反響が大きいのが、人気音楽プロデューサーをゲストに呼び、半年や1年の間に彼らがすごいと思った曲を解説する企画だ。16年10月の回では、YUKIやSuperflyを手掛ける音楽プロデューサー蔦谷好位置が、インディーズの女性ソロシンガー日食なつこの『水流のロック』を紹介。「ピアノの弾き語り+ドラムという編成なのに音が力強く、ボーカルも際立っている」と絶賛した。

 その結果、注目度が上がり、ミュージックビデオの再生回数は2000万回超え(17年12月下旬時点)。日食のマネジャーは、「放送直後はHPにアクセスが殺到してダウンするほどで、ライブに来るファン層も広がりました」と影響の大きさを語る。他にも、17年8月に『鯨の唄』が紹介されたバンド、Mrs.GREEN APPLEは、ダウンロード数がオンエア前と比べて20倍に伸びたという。

 今後も様々な角度から、ミュージシャンのすごさを伝えてくれそうな音楽番組だ。

(ライター 中桐基善)

[日経エンタテインメント! 2018年2月号の記事を再構成]

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