さらに、はがきは「執行官立ち会いのもと、給料の差し押さえ及び動産、不動産物の差し押さえを強制的に履行させていただきますので裁判所執行官による執行証書の交付を承諾」するよう求めています。ここまでくると、もうわけがわかりません。まず、執行官は給料の差し押さえや不動産の差し押さえには立ち会いません(「不動産物」という表現がそもそもおかしい)。執行証書も公証役場で公証人が作成する書面であり、執行官は全く関係ありません。その交付を承諾するというのは全く意味不明です。

「ネット利用で著作権侵害」?

 また、2017年の後半ぐらいからは「一般社団法人 知的財産教育協会財団」が差出人のはがきも増えているようです。これについても「一般財団法人 知的財産研究教育財団」という実在の団体が「一切無関係」とサイトで注意喚起しています。非常に紛らわしい名称ですが、前者は架空の団体です。

 はがきは「著作権侵害訴訟最終通知書」というタイトルで、「インターネット利用による著作権侵害」などと記載されているようです。SNS(交流サイト)やブログなどをやっている人は少しドキッとするかもしれません。しかし、これだけの記載ではどのような著作権侵害があったのか、具体性を全く欠いています。書かれていることも「法務省」を名乗るはがきと似たり寄ったりで、こちらもデタラメといえる内容です。

不安ならば弁護士に相談を

 さて、はがきで来る請求がすべて架空かというと、そうではないので注意が必要です。弁護士や債権回収会社から請求が来る場合があります。債権回収会社(サービサー)は法務大臣の許可を得たうえで、金融機関などから委託を受け、または譲り受け、特定金銭債権の管理回収をする民間の債権管理回収専門業者です。また、私は債権の請求をはがきで行ったことはありませんが、小口の債権回収を大量に受任している弁護士は、はがきを使うこともあるようです。

 ただしこの場合、必ずどこの会社のどのような種類の債権か、その請求金額も書かれているはずです。滞納した携帯電話料金だったり、未払いのクレジットカード立て替え金の請求などがあったりすれば、自分でも心当たりがあるので分かるでしょう。

 厄介なのは、弁護士やサービサーを名乗った架空請求もあるということです。もし見分けがつかず、不安であれば本物の弁護士に相談してください。

志賀剛一
志賀・飯田・岡田法律事務所所長。1961年生まれ、名古屋市出身。89年、東京弁護士会に登録。2001年港区虎ノ門に現事務所を設立。民・商事事件を中心に企業から個人まで幅広い事件を取り扱う。難しい言葉を使わず、わかりやすく説明することを心掛けている。08~11年は司法研修所の民事弁護教官として後進の指導も担当。趣味は「馬券派ではないロマン派の競馬」とラーメン食べ歩き。
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