同省は「これらは法務省とは一切関係のない団体」とウェブサイトで注意喚起しています。「法務省」と書かれていると、なにか訴訟に関係していそうな雰囲気が漂うのかもしれませんが、法務省は行政機関であり、裁判をするところではありません。訴状は裁判所から届くものです。個別の訴訟案件に国の行政機関の法務省が関与することもありえません。

書かれている内容は具体的か?

 次に「法務省」を名乗るはがきの内容を見てみましょう。タイトルは「少額消費料金未納に関する訴訟最終告知のお知らせ」「総合消費料金に関する訴訟最終告知のお知らせ」などと書かれているものが多いようです。そもそも「訴訟最終告知のお知らせ」という日本語に違和感を覚えます。その点をさしおいても、「少額消費料金未納」といったあいまいな表現に注目してください。もし本当の請求であれば何の料金か、未納分はいくらか、もっとはっきり書いてあるはずです。

 これらのはがきには「わ251」や「わ309」といったもっともらしい番号が記載されています。裁判所に訴状を提出すると、確かに事件番号が付されますが、冒頭に必ず「平成○年」がつきます。通常訴訟事件の符号はたしかに「ワ」ですが、カッコ書きで片仮名が用いられ、そのあとに番号が続きます。つまり、○○地方裁判所平成○年(ワ)第○号というのが正しい表記です。ところが、これらのはがきは平仮名の「わ」が用いられ、何よりも「どこの裁判所であるのか」の記載すらありません。

本物の訴状は裁判所から届く

 本当に訴訟が提起されているのであれば訴状は「法務省の支局」ではなく、裁判所から封書で訴状と期日呼び出し状などが送達されます。これらは特別送達という書留郵便の一種で発送され、決してはがきで連絡が来ることはありません。

 また、この手のはがきの多くは「このままご連絡なき場合、原告側の主張が全面的に受理され」とも書かれていますが、これもトンチンカンな記載です。原告の主張に理由があるかないかを審理するのが裁判であって、万一あなたが被告であれば、裁判所の期日呼び出し状に記載された口頭弁論期日に出頭して反論を述べる機会が必ず与えられます。

 もちろん、この裁判を理由なく欠席すれば、基本的に原告の言い分が認められるのが民事訴訟のルールですが、どこの裁判所で何月何日の何時に裁判が開かれるかも書かれていない通知では出頭のしようがありません。「訴状」が受理されたというのならわかりますが、「原告の主張が全面的に受理され」というのも珍妙な表現です。

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