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「投稿」で作るバリアフリー地図 車いす利用者が情報 アプリ登録は約3200人、トイレやエレベーターなどきめ細かく

2018/3/6 日本経済新聞 夕刊

車いす利用者の情報共有アプリ「WheeLog!」(東京都武蔵野市)

車いすの利用者らがスマートフォン(スマホ)のアプリを使い、バリアフリー情報を加えた地図を協力して作る活動が進んでいる。車いすで通れた道を全地球測位システム(GPS)で記録。多機能トイレやエレベーターの位置、使い勝手などを投稿する。2020年の東京五輪・パラリンピックには障害を持つ人が多数日本を訪れることが予想されており、安心して外出できる環境作りに役立ちそうだ。

「店員さんがとても親切で料理もおいしい。ただ、エレベーターまでの通路が狭い。トイレに段差があり、車いすでは利用できない」

1月中旬の週末、JR吉祥寺駅(東京都武蔵野市)前のレストランで、車いす利用者のグループの一人がスマホアプリ「WheeLog!」を使って情報を投稿した。

アプリは17年5月に公開。利用者がバリアフリー設備の情報を投稿すると、地図上に登録され、お互いに共有ができる。情報は例えば、多機能トイレやエレベーターの有無。「ここの多機能トイレはドアが手動」といった具体的な特徴、使い勝手も伝えられる。健常者の投稿も可能だ。

車いすの利用者向けに、GPSを活用して移動したルートを地図に反映する機能もある。通った経路は薄い紫色で表示。通行量に応じて色が濃くなる仕組みで、通りやすい道が一目で分かる。

川崎市の会社員、野崎圭一郎さん(37)はアプリを公開直後から利用している。「以前は渋谷のように坂道が多く、道幅が狭い繁華街を移動するのが苦手だった。アプリのおかげで、車いすで通れる道を確認できるようになったので助かる」と話す。

アプリを発案したのは筋力が次第に衰える難病「遠位型ミオパチー」の患者団体代表で、車いすを利用する織田友理子さん(37)だ。患者団体の活動などで各地を訪れた時に「車いすで利用できる飲食店の位置が分からない」などの不便さを感じた。「障害を持つ人が知る街のバリアフリー情報を集めた地図を作ったら便利では」と思いついたことが、開発につながった。

IT(情報技術)を活用した障害者支援に取り組んでいる研究者らが開発に協力。インターネット検索大手のグーグルが資金面で支援した。

18年2月下旬時点で車いす利用者約1000人を含む計約3200人が利用者登録。アプリは同社の地図サービス「グーグルマップ」が表示される範囲で使うことができ、同時点までに海外を含めた約8千地点の情報が投稿された。

織田さんは「車いすで外出しやすい環境をつくるために情報を充実させていきたい。アプリを利用して街中のバリアフリー情報を投稿してほしい」と呼びかけている。

20年東京五輪・パラリンピックでは、国内外の障害を抱える人が競技会場などを訪れる。バリアフリーに関する情報提供の充実は大きな課題の一つだ。

国土交通省は、バリアフリー情報を紹介する地図やナビゲーション(案内)サービスの普及を目指している。15年から国や自治体が把握する歩道の道幅や傾斜、点字ブロックの位置などをインターネット上で公開。民間事業者による案内アプリの開発を手助けしている。

同省の担当者は「提供するデータの量を増やし、障害を持つ人に役立つサービスづくりを支援していきたい」と話している。

(桜田優樹)

[日本経済新聞夕刊2018年1月29日付を再構成]

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