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横断歩道の段差は「2cm」 車いすと白杖の両方OK バリアフリーの進化、スロープは畳んで持ち運び可能に

2018/2/9 日本経済新聞 夕刊

「段差をなくすのがバリアフリーでは?」。読者の皆さんはそう思われるかもしれない。だが、バリアフリー新法の指針は歩道と横断歩道の段差は「2センチ」と定めている。

車椅子使用者は段差がない方が望ましい。しかし、目の不自由な人は段差がないと境目が分からず、命の危険にもつながる。当事者が議論と検討を重ね、車椅子で昇り降りができ、白杖(はくじょう)で確認できる段差を2センチと定めた。

スロープを使って段差を越える高橋秀子さん
折り畳んで持ち運べるスロープ(写真提供:住友ゴム工業)

「横断歩道の段差の角は少し丸くなっていて、昇り降りがしやすい」と教えてくれたのは25年間、電動車椅子で国内外を飛び回る知人の高橋秀子さんだ。とはいえ世の中には2センチ超の段差がある場所が多い。

利用者の多い駅や施設にはエレベーター、階段昇降機などが設置され、バスは階段式からノンステップバスへと主流が移ってきている。それでも数多く存在する段差や隙間を、スロープが解決している。

介護保険でレンタルすることもできる製品は「車椅子用可搬形スロープ」という名称で日本工業規格(JIS)にもなっている。JISでは一体形と2枚以上のレール形があり、さらに折り畳み機構や伸縮機能を備えたものがある。

厚生労働省の介護給付費実態調査によると、2017年10月審査分のスロープ貸与件数は30.3万件で前年同月比13.7%増。日本の住宅の狭い幅の間口に合わせる、縁側からの乗り入れを考慮する、曲線形の開発といったことに加えコストダウンも影響している。

高橋さんにとってもスロープはなくてはならない存在だ。「公共交通や移動サービスではリフトやスロープを搭載した車両を利用するが、訪問先の段差の有無が確認できないときは必ず可搬式のスロープを持参している」と話す。

鉄道各駅でも車椅子使用者が乗降する際、駅員さんが折り畳み式のスロープを使い、ホームと電車の段差や隙間を解消している。ここでも軽さ、運びやすさ、折り畳む時の指挟み回避など、利用者の声に耳を傾けた貴重な工夫がメーカー各社によって行われている。

段差がバリアー(障壁)になる人、場所によって段差が必要な人たちが導き出した「2センチ」は、異なるニーズの隙間や段差に心のスロープを渡して検討した結果である。バリアフリー社会に向けてスロープは多くの場所で活躍している。

(共用品推進機構専務理事 星川安之)

[日本経済新聞夕刊2018年1月27日付]

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