マネー研究所

Money&Investment

保険料が全額戻ってくる医療保険 損得はいかに 保険料は2.4倍、貯蓄性強く

2018/1/30

写真はイメージ=PIXTA

 あらかじめ決められた年齢までに入院や手術で保険金を受給しなければ、それまでに支払った保険料が全額還付される民間医療保険があると聞きました。どんな仕組みなのですか?

◇  ◇  ◇

 東京海上日動あんしん生命保険の「メディカルKitR」とメディケア生命保険の「メディフィットリターン」などは、決められた年齢まで保険金の受給がなければ、主契約の保険料が「健康還付給付金」として100%戻ってくる。

 仮に保険金の受給があっても、支払った保険料を下回る金額なら差額が還付される仕組みだ。このため、どの契約者も中途解約したり死亡したりしない限り、保険金と還付金を合わせて保険料の100%を受け取れる。となると「保険会社の経費や利益はどこから出るのだろうか」との疑問が当然、わいてくるだろう。

 メディフィットリターンで入院1日当たり5000円の保険金が出る契約をするケースで考えてみよう。30歳男性の場合、還付金がもらえる年齢は最も早くて60歳。保険料は月々3705円で30年間の累計では133万円余りにのぼる。

 60歳で戻ってくるとはいえ、同社の掛け捨て型医療保険「メディフィットA」で同じ保障を付けるのに比べると、保険料は約2.4倍とかなり高い。これを予定利率1.35%で長期運用し、運用益を経費や保険代理店への手数料に充てる設計になっているからだ。

 このため、少額の保険料で万が一の大きなリスクに備えるという保険本来の保障の機能は薄れる。加入直後に不慮のケガで長期入院した人などを除けば、支払った保険料を上回る保険金を受け取る契約者はわずか。還付金がもらえる年齢に近づくほど、入院しても「保険料の一部が戻ってくるだけ」という人が増え、保険というより貯蓄の性格が強くなるわけだ。

 それでも、2016年11月の取り扱い開始から1年余りで契約件数は約1万件に達した。同社によると「日ごろから健康に自信があり、万が一の事故や病気への備えであっても保険料の掛け捨てはしたくないという人に選ばれている」(メディケア生命の竹中幸一取締役)。メディカルKitRも5年間で累計約70万件の契約を積み上げた。

 確かに、こうした保険は決められた年齢まで保険金をもらわず保険料の100%を還付金として受け取り、そこで解約すれば掛け捨て型に比べてメリットは大きい。インフレ率などを考慮しなければ保険料負担はゼロだったとみなせる。

 ただし、その後80歳、90歳まで医療保障が必要と考えるなら「最初から掛け捨てタイプを選び、高齢になってからの保険料を抑えたほうが有利な場合もある」(同)。還付金をもらってから掛け捨て保険として継続しても、保険料はそのまま下がらないからだ。

[日本経済新聞朝刊2018年1月27日付]

マネー研究所新着記事

ALL CHANNEL