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1室だけのホテルもOK 小規模施設、訪日客受け皿に 厚労省が規制緩和、フロントはカメラの顔認証で代替認める

2018/2/6 日本経済新聞 朝刊

規制緩和で古民家などの付加価値を高める(千葉県大多喜町)

 厚生労働省は、ホテルや旅館の客室数規制を撤廃した。ホテルは10室以上、旅館は5室以上の客室が必要だったが、1室しかなくても営業できるようにする。客室の最低床面積の規制も緩め、古民家の改修などを促す。住宅に旅行者を有料で泊める民泊の解禁とあわせ経営側の選択肢を増やし、訪日観光客取り込みにつなげる。

 2017年の訪日客は2800万人を超え、政府は20年に4千万人に引き上げる目標を掲げている。訪日客の増加で首都圏や関西圏を中心にホテルの稼働率は高まっており、受け皿をどう広げるかが課題だ。

 18年6月には、民泊を全国で解禁する法律が施行される。政府は訪日客の増加につながると期待するが「営業日数は年間180日まで」などの規制もある。治安への不安から自治体が営業できる地域や曜日を限定するなど独自の上乗せ規制を設ける動きも多い。

 大型ホテルなどの整備には時間がかかるうえ、建設コストも上昇している。政府は古民家や都心の下町に立つ下宿施設など小規模施設もホテル・旅館として運営しやすくする方策が欠かせないと判断。1月末に旅館業法に関連する政令を改正、6月に施行する。

 客室数の下限規制をなくしたほか、客室の最低床面積の規制も緩めた。これまでホテルの洋式客室は9平方メートル以上、旅館の和式客室は7平方メートル以上だったが、新基準ではベッドを置かない場合は7平方メートルあれば認めた。

 ホテル旅館に義務付けられたフロントの設置基準も緩めた。例えばビデオカメラによる顔認証で本人確認ができれば、フロントは不要とした。このほか17年12月の自治体への通知でも規制を緩めており、収容定員ごとに定めたトイレの数や、フロントや宴会場など場所ごとに決めていた明るさの基準を撤廃した。

 施設ごとの規制緩和のほか、近隣の小規模施設との一体運営もしやすくした。緊急時に10分程度で職員が駆けつけられれば、フロントを1カ所に置き、共有できるようにした。

 日本政策投資銀行が15年4月にまとめたリポートによると、建築基準法が制定された1950年以前に建った木造建築は156万6200軒ある。日本家屋の風情を楽しめる地域資源として観光施設として改修する動きも出始めた。

 5室未満の施設はこれまでも簡易宿所としては営業できた。ただ不特定多数の客が1室に泊まることを前提にしていたため、1部屋に複数のトイレを設けるなど改修コストがかさむ例があった。

 古民家を生かした旅館を展開する一般社団法人ノオト(兵庫県篠山市)の金野幸雄代表理事は「規制緩和で改修費を抑えられる」と語る。部屋の区切り方や照明の明るさなどの設計も自由度が高まるため「古民家の付加価値を高めて富裕層なども呼び込みやすくなる」と指摘する。

[日本経済新聞朝刊2018年1月26日付を再構成]

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