独立系投信の「機動的な運用」 強みはどこに?

日経マネー

写真はイメージ=PIXTA
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株式投資ほどのリスクは取れないが、分散投資でリスクを下げつつ少しでも資産を殖やしたい。こんなニーズに応えた商品として、投資信託が人気を博している。ただ、一口に投信といっても中身は多種多様。自分に合った商品を見つけるには、どうすればいいのか。投信初心者の疑問をプロが分かりやすく解説する。

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Cさん(以下、C) 2017年は日本株が好調でしたね。私が投資している「ひふみ投信」も期待通りの成績でした。これだけ上がると今度は相場の調整がちょっと心配になりますが、独立系運用会社の投信は相場の下げ局面で株式組み入れ比率を低めて価格下落を抑えてくれる特徴があるみたいなので、ある程度安心感がありますね。

吉井崇裕(以下、吉井) ひふみ投信など独立系の株式投信の多くは確かに、組み入れ比率を50%程度まで落とせる仕組みになっています。しかし、その判断は各社各様。相場に応じて比率を都合よく調整できれば理想的ですが、相場の上げ下げを予測するのは本当に難しいものです。

C 実際のところ、機動的な運用はうまくいっているのでしょうか。

吉井 投資行動と成績を見比べると、運用の特徴やリターンの傾向をつかむことができると思います。

C どうやって見ればいいでしょう。

吉井 まず、相場全体と株式組み入れ比率の推移を見ます。下グラフはTOPIX(東証株価指数)の動きと代表的な独立系投信の株式組み入れ比率の推移です。相場が大きく上下した15~16年の動向を見ると特徴がつかみやすいでしょう。組み入れ比率を機動的に動かしている投信が分かりますか。

C 「ザ・2020ビジョン」と「みのりの投信」の動きが大きいです。

吉井 2020ビジョンは小刻みに、みのりのはよりダイナミックに動かしているのが見て取れます。一方、ひふみは相場が2~3割動く中でも組み入れを高位に保っています。相場によほどの転換点がないと、比率を大きく下げることはないようですね。「結い2101」は逆にずっと低位ですが、これはリスク水準を年率10%程度に抑えるという運用方針によるものです。

C 運用成績はどうでしょうか。

吉井 インデックス型投信を上回ったのは、ひふみとみのりのです。ひふみは組み入れが高位なことに鑑みると、主に銘柄選びがうまくいったのでしょう。みのりのはリスク水準がインデックス型の約半分。比率調整でリスクを抑えながら、銘柄選択もうまくいったようです。

C 結いはリスク水準がさらに低い。

吉井 組み入れ比率が常に低位だからです。リスクと共にリターンも抑えられる特徴を理解しましょう。

C 2020ビジョンは比率をよく動かすのにリスク水準が高いです。

吉井 個別銘柄の要因もありますが、この期間においては比率調整もやや後手に回ったように思われます。あくまでも一期間を切り取った結果なので、これが続くとは限りません。それでも、独立系だから安心だと漠然と考えず、実際の動きと成績を見て運用の特徴をつかむのが大切だと覚えておきましょう。

吉井崇裕
イデア・ファンド・コンサルティング社長。ファンド・アナリストとして、国内約4000本の投資信託を常時分析する。モーニングスター、三菱アセットブレインズにてファンド・アナリスト、朝日ライフアセットマネジメントにて販売および運用関連業務に従事。現在はFP法人GAIAのセレクトファンドの選定に携わる。

[日経マネー2018年3月号の記事を再構成]

日経マネー 2018年3月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)


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