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食の豆知識

恵方巻きはなぜ太巻き? にぎりや押しずしでない理由

2018/1/31

恵方巻き揃い踏み(名古屋市 回転さかなや鮨 魚忠 則武本通り店 提供)

 毎年この時期になるとよく見かけるもの。それは、恵方巻きを売り出す華やかなチラシだ。今や恵方巻きは2月の一大イベント。すし店だけでなく、食べ物を売るありとあらゆる場所で「何かを巻いたもの」が、今年の恵方の方角とともに盛大に売り出されている。

 バレンタインデーもかくやという大きな商戦となったため「そもそも東京には恵方巻きなんてなかった。嘆かわしい」などと水を差す人もいる。だが、それを言ったら「日本古来のものに見えながら、そもそも日本になかった伝来のもの」など、ごまんとある。和食に欠かせないコメやダイコン、ハクサイなどみんな海外からやってきたものだし、和菓子もほとんどは外国から輸入されたものが元になっている。無理に自分を曲げてまで乗っかる必要もないが、単純に「おいしい巻きずしがいっぱい出回る日」と思えば、なんだかウキウキしてこないだろうか。

太巻きを丸かぶり=PIXTA

 とはいえ実際、近年まで東京では知られていなかったのは事実だ。私が知ったのは、30年ほど前に三重県に嫁に行ったからだ。東京でもよく見知っていた持ち帰りずしの全国チェーン店が、三重県の住まいの近所にもあったのだが、そこで太巻きの丸かぶりを推奨するポスターが大きく貼られていたのを見たのが最初だ。

 見たことも聞いたこともない風習だったので、驚いて三重県の友人たちに尋ねると「食べる人は食べる」くらいの認知度で、まだみんなが知っているというレベルではなかった。その数年後に移り住んだ名古屋では年月がたったせいか「知ってはいる」「聞いたことはある」と、少し有名になっていた。しかし当時、東京の友達にこの恵方巻きの話をしても、もれなくキョトンとされたものだ。

スーパーの恵方巻き

 調べると、スーパーやコンビニなど早いところは90年代前半に全国展開をしていたとあるので、東京でもあるところにはあったのだろう。しかしまだ大々的とは言い難く、一般市民の心に入り込むまでには至らなかったのかもしれない。引っ越しても引っ越してもなぜかいつも近所にある持ち帰りすしチェーンの店頭で、私は毎年太巻きポスターを不思議な気持ちで眺めていたものだ。

 ところがそのころ、大阪ののり屋さんから面白い話を聞いた。

「恵方巻きは、実は僕らが仕掛けたものなんですわ」

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