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レスリングの街、五輪に沸く ホストタウンで交流熱望 サーフィン会場の地域では、プールで子供の体験教室も

2018/2/10 日本経済新聞 夕刊

真剣な眼差しでスパーリングをする小学生(富山県高岡市の高岡ジュニアレスリングクラブ)

 2020年東京五輪・パラリンピックで外国選手団や日本のナショナルチームがやってくるのは東京だけではない。地方も競技会場になったり海外チームの事前合宿地(ホストタウン)になったりして「スポーツの祭典」の舞台となる。

 サーフィン会場に決まった千葉県一宮町。17年6月、町立東浪見(とらみ)小学校のプールに子供たちの歓声が響いた。プロサーファーの指導でサーフィンの体験教室が開かれ、サーフボードの上に立ったり手で水をかいて進む「パドリング」を習ったりした。

 五輪会場となる釣ケ崎海岸は有数のサーフポイントで、人口約1万2千人の町に年間延べ約60万人が訪れる。移住も相次ぎ、10年間で人口が100人増えたのは過疎の町にとって大きな「サーフィン効果」だ。

 黒潮に洗われた温暖な一宮町は、明治中期から昭和初期にかけて「東の大磯」と呼ばれた別荘地。町は五輪を起爆剤に「若者に人気のリゾート地」を構想し、地域活性化を図る。

 中心部に17年7月、週末に訪れるサーファー向けの施設が開業した。5つの個室オフィスのほかベッド、風呂・シャワーやボードの保管庫も備える。運営するまちづくり会社によると「仕事を終えた金曜の夜に来て仮眠をとり、明け方に海へ出る『サーフ&ワーク』の拠点にしたい」という。

 16年8月にはホームページ「サーフィンと生きる町。」を開設、町の魅力を国内外に発信し始めた。

 ただ「サーフィンが町民に浸透しているとはいえない」と馬淵昌也町長(60)。小学校での体験教室は町民への普及策の一環で「マリンスポーツを身近な場で楽しんでもらい、青少年の健全育成と町の活性化につなげたい」。元大学教授の学者町長は未来像を語る。

 ポーランドのレスリングチームのホストタウンとなる富山県高岡市ではレスリング熱が高まる。

 ホストタウンは、海外選手団の事前合宿を受け入れる国内各地の市町村で、内閣官房によると、これまでに全国252自治体が74カ国・地域の競技団体を誘致することが決まっている。

 高岡市はリオデジャネイロ五輪女子レスリングの金メダリスト登坂絵莉選手らを輩出したレスリングが盛んな土地柄。3~15歳の約30人が通う「高岡ジュニアレスリングクラブ」の入会希望者も増えている。17年9月には登坂選手を招いた練習会も開いた。

 同市の東京オリンピック・パラリンピック推進室長の石瀬潔志さん(55)は「今後はポーランド祭を開いたり、レスリングの小学生選手が交流したりして関係を深め、レガシー(遺産)にしたい」と語る。

 菊幸一・筑波大学大学院教授(スポーツ社会学)は「五輪のレガシーの残し方は多様で、『ホッケーの町』『サーフィンの町』など、それぞれの自治体がかかわった競技を発展させる方向のほか、相手国に姉妹都市をつくって学生の相互訪問など人の交流を深める道がある」と話している。

[日本経済新聞夕刊2018年1月25日付]

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