「将来の自分にかけたいお金」が分かる年表のつくり方
2018年の初めに「今年こそお金をためる!」と思った方は、たくさんいらっしゃることでしょう。そこに「いつ」「何に」「いくら」という、具体的な期日・目的・金額はありますか? この3つを考えると、お金を使うゴールは、今年だけの目標ではないことに気付きます。貯蓄目標に人生100年の視点を加えてみましょう。
ライフイベント表を書いてみる
ライフイベントとは、例えば2年以内に資格取得、3年後に結婚、5年後に出産、10年後にはマイホーム……というように、将来、自分のやりたいことややらなければならないことなどの予定。このライフイベントを、数十年先までの未来年表に落とし込んだものを、ライフイベント表といいます。
記入見本をご覧ください。
今年をスタートにして、自分や家族の年末時点での年齢を書いて、あとは、将来の夢や希望、決まっている予定などを書けばいいだけ。これでライフイベント表の完成です。書き方はとっても簡単ですね。
普段から漠然とでもやってみたいことや気になることはあるでしょう。例えば、「海外旅行をしたいな~」とか「いつかは家を買いたいなぁ」「子どもが成長したらお金がかかるなぁ」など、ふと思ったりしませんか?
思うだけだとそれで終わりですが、そこに、「いつ」「何に」「いくら」という3つのキーワードが明確になると、具体性が出てくるのです。
新手帳に書くもよし、エクセルなどを使って表にするもよし! 数年先、数十年先の自分の人生の将来年表を書いてみましょう。
やりたいこと&決まっている予定から書く
例えば、あなたが「旅行したいなぁ」と思ったとします。「いつ」「何に」「いくら」のうち、「何に」当てはまるのが旅行です。旅行と一口に言っても、国内旅行と海外旅行では金額が変わることを知っていますから、目的が旅行に決まると、自然と次は「どこに?」ということを考えます。
例えば、「ベトナムに行きたい」と思ったとしましょう。すると、ベトナム旅行の金額は、サイトで調べたら分かりますよね。オフシーズンかハイシーズンかによっても値段は違ってきますから、そうなると「いついくか?」と1年の中での旅行できるタイミングを考えますし、もう少し長期目線で、「何年後にいくか?」ということも考えることができます。仮に、「来年の夏休みに旅行代やお土産代を含めて10万円で行こう」と決めたら、これをライフイベント表に書き込むのです。
こんなふうに、漠然と思っていることを具体化できるのが、「いつ」「何に」「いくら」なのです。
予定が立てづらいシングルの人は「もしも」でシミュレーション
実は、このライフイベント表を書くときにスムーズに書ける方と、手が止まる方がいらっしゃいます。それが、家族構成の違いです。子どもがいる方は、子どもの進学という予定がありますから、割と簡単にライフイベント表が埋まっていきます。
なかなか埋まらないのは、シングルの方と夫婦二人の方です。
シングルの場合は、結婚するかしないか分からないし、さらには子どもの有無や人数も分からない、家を買うか買わないかも今、決めるのは難しいでしょう。不思議と「ちゃんと書かなきゃ」という意識が働くので、「分からないから書けない」となりがちなのです。
でも、ここで大事なことは、まず書いてみること。シミュレーションだからこそ、いろんなパターンが作れるので、「もしもできるとしたら?」という気持ちで考えます。
将来が分からないからこそ、「もしもできるとしたら?」と自分に聞きながら、「もしも結婚するとしたら何歳ぐらい?」、「もしも結婚したとしたら、子どもはどうする?」「もしも結婚して、子どもが生まれたとしたら、家はどうする?」というように、「もしも?」ということで考えて書いてみてくださいね。もちろん、結婚や出産、子育てだけでなく、旅行や転職、資格取得などキャリアの転機についても書いていきましょう。
すると、そこで書いた内容や時期が、無意識に自分の中にインプットされるので、そのやりたいことが実現に近づく可能性がより高まるのです。
どうしても埋まらない年表を前に考えること
子どもの予定がないご夫婦、特に、マイホームを買った後、あるいは、賃貸派の人たちは大きなイベントがなく、ライフイベントがなかなか埋まらない傾向があります。
こんなときは、「死ぬ前に、こういうこともやっておいたらよかったなぁ、と後悔することはないか?」と、自分に聞きます。
今という時間軸から考えると、目の前の仕事や家のことで精神的に余裕がなかったとしても、「死ぬ前に、そして、元気なうちにやっておきたいことはないか?」と考えることで、「そういえば、海外旅行をしてみたいなぁ」とか「1年に1回は温泉でゆっくりしたいなぁ」と、希望が出てくることが多いのです。
つまり、ライフイベント表を書くときのコツ……
1.決まっている予定から書く。
2.「もしもできるとしたら?」と想像しながら書く。
3.「死ぬ前に後悔しないためには、何をする?」と逆算する。
この3つです。
「今年こそ100万円ためる!」といった貯蓄目標を決めた方も多いかと思いますが、1年間の計画に加えて、5年、10年、20年という長い人生軸で考えてみると、新しい視点で貯蓄計画を見直すこともできるかもしれません。
Cras代表取締役。FPオフィス will代表。大阪在住のファイナンシャルプランナー。中学・高校の保健室の先生から、結婚、退職、住宅購入、加入保険会社の破たんを経て転身。働く女性や子育て世帯が、お金の安心と可能性を実感できる「知れば得トク、知らなきゃソンするお金の知恵」を伝える。講演やテレビでも活躍。新著に「本気で家計を変えたいあなたへ〈第2版〉 書き込む"お金のワークブック"」(日本経済新聞出版社)。
[nikkei WOMAN Online 2018年1月22日付記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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