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つみたてNISA、iDeCoとの相性は? 併用術を考える つみたてNISAをマネーハック(4)

2018/1/29

写真はイメージ=PIXTA

 今月はつみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)について紹介してきました。最終週のテーマは「他の制度と組み合わせてみる」です。

 米国のファイナンシャルプランナーの間で近年流行している運用の考え方の一つに、「アセット・ロケーション」があります。株式や債券の資産配分を最適化する「アセット・アロケーション」に語感が似ていますが、こちらは文字通り資産(アセット)の「置き場(ロケーション)」を重視する考え方。特に重視されているのは税制優遇のある口座の有効活用です。

 税制優遇口座というと、iDeCo(個人型確定拠出年金)、財形貯蓄が代表例。それでは、つみたてNISAと相性のよい制度はどちらか考えてみましょう。

■iDeCoと併用する場合は満額にこだわらない

 まず比較してみたいのはiDeCoです。iDeCoとつみたてNISAはいくつかの点で似ています。まず、定期的な積み立てを行うこと、運用益が非課税であること、非課税枠は比較的少額であることです。

 一方でiDeCoと違い、つみたてNISAは掛け金そのものは所得控除の対象ではありません。積み立て段階で税制優遇される分、iDeCoの方が有利です。投資対象の商品の売買を繰り返しても税制優遇が維持される点でもiDeCoに軍配が上がります。

 iDeCoは「最強の投資優遇税制」ともいわれており、活用しない手はありません。税制優遇面だけ考えれば、同じように有利なつみたてNISAとの併用は最強の組み合わせといえるかもしれません。

 ただし、iDeCoはあくまで年金ですので、60歳まで受け取りできないことについては留意すべきです。老後の資産形成としては最適ですが、それ以外の目的には用いることは原則できません。

 iDeCoと組み合わせる場合は、「iDeCoファースト」の考え方に立ちつつ、併用を考えるといいでしょう。資金に余裕がなければ無理に両方満額積み立てる必要はありません。「iDeCoに月1万円(限度額は2.3万円)、つみたてNISAに月1.5万円(同3.3万円)ずつ積み立てていく」でもいいわけです。できれば投資枠はフル活用したいところですが、少額でも積み立てを継続すれば将来大きな財産になるはずです。

■財形貯蓄との併用はリスク分散の利点

 次に、会社員の多くが利用できる財形貯蓄との組み合わせはどうでしょうか。税制メリットがある財形貯蓄には住宅購入目的の住宅財形、年金受け取り目的の年金財形と2種類あり、いずれも利息が非課税です。

 定期的に積み立てるという点では財形貯蓄とつみたてNISAは同じですが、一般的に財形貯蓄は預貯金であり、投資信託というリスク商品しか選べないつみたてNISAと対照的です。

 組み合わせの相性として考えると、「積み立て投資と積み立て預金の同時並行」になり、リスク管理として悪くない発想です。同額ずつ積み立てれば、元本ベースでは「リスク資産5:安全資産5」になりますし、資産配分を変えて「7:3」「3:7」のように比率をアレンジすることも可能です。

 リスク資産に自らの財産のほとんどをつぎ込んでしまうと、相場の短期的な下落の際に損失が直撃します。定期預金金利があまりにも低いのが残念ではありますが、相場の下落時には定期預金の積み立て効果によって資産のマイナスインパクトは軽くなります。また、リスク資産の部分について相場の回復を待つことができる(特に心理的な)余裕も生み出してくれます。リスク分散という点で、財形貯蓄とつみたてNISAの併用は大いにアリだと思います。

■一つの制度にとらわれず有効活用を考える

 ちなみに、一般NISAとの関係ですが、NISAとつみたてNISAは選択制なので毎年どちらか1つしか利用できません。つみたてNISAは投信のみが対象なのに対し、一般NISAでは個別株にも投資できますが、長期での資産形成を第一に考えるのであれば、つみたてNISAを優先して考えた方がいいでしょう。

 今回はいくつかの制度とつみたてNISAの組み合わせを検討してみましたが、一つの制度にとらわれず有効活用を考える視点は重要です。

 私たちはつい制度ごとの限度額を使い切るまで他の制度を使ってはいけないような気にとらわれます。しかし、そういったルールはありません。少額でも税制優遇を受けながら複数の制度を併用していけばいいのです。

 今回取り上げた制度との併用であれば、管理の手間やコストもそれほど問題にはならないでしょう。ぜひ、いくつかの制度を組み合わせた「アセット・ロケーション」を構築してみてください。

マネーハックとは ハックは「術」の意味で、「マネー」と「ライフハック」を合わせた造語。ライフハックはIT(情報技術)スキルを使って仕事を効率よくこなすちょっとしたコツを指し、2004年に米国のテクニカルライターが考案した言葉とされる。マネーハックはライフハックの手法を、マネーの世界に応用して人生を豊かにしようというノウハウや知恵のこと。
山崎俊輔
 AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に『誰でもできる 確定拠出年金投資術』(ポプラ新書)など。http://financialwisdom.jp

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