「保険の枠、ITで破壊」 SOMPO社長が語る将来SOMPOホールディングスの桜田謙悟社長(下)

――その一環として介護分野に進出し、短期間で業界2位になりました。

「介護状態になること自体は本人や家族にとってハッピーではありませんが、大切な家族がそういう状態になった時に、安心して預けられる場所がある、しかも本人も幸せそうに暮らしている、という状態をつくることができれば、『安心』の具体的な提供につながる。そう考えて大手の介護事業会社2社を買収しました。介護する人とされる人双方の負担を減らすような技術を持つベンチャー企業と組んで、新しい形の介護に取り組んでいます」

認知症の早期発見と治療に向けた研究にも、保険会社として取り組む考えだ

「もう一つの柱は健康寿命の延伸です。最大のネックになるのは認知症なので、いち早く発見し、早期に治療できる仕組みができないか検討しています。そのために国立長寿医療研究センターと包括業務提携をして、認知症に関する様々な知見を集めています。例えば自動車保険にサービスをつける形で、認知症テストを受けていただけるように働きかけ、出てきた結果によっては、早期治療プログラムを有料で提供するといったことです」

テルアビブにデジタル拠点

――介護や認知症予防だけでなく、全社を挙げてテクノロジーの活用、デジタル戦略を打ち出しています。

「損保の殻を打ち破り新しい事業領域を広げていくには、デジタル戦略が欠かせません。一昨年には本社にデジタル戦略部をつくり、シリコンバレーにもデジタルラボを設置。CDO(最高デジタル責任者)として、シリコンバレーで豊富な経験を持つ(三菱商事出身の)楢崎浩一氏を招き、現地のベンチャー企業の発掘・連携を進めています。さらに昨年はイスラエルのテルアビブにも拠点をつくりました」

「なぜテルアビブか。それはシリコンバレーで2年やってみて、本当のイノベーションの種は、シリコンバレーで生まれているというより、そこに集まっているイスラエル人やインド人の頭の中にあるというのがわかったからです」

「早速、現地でパートナー企業を見つけたんですが、その会社の壁に非常に素晴らしい言葉が書かれていました。 ”Disrupt or be disrupted.” つまり『破壊せよ、さもなくば破壊される側になる』。もう少し柔らかくいうと『変革しなければ生き残れない』ということです」

怖いのは保険業ではなくテクノロジー企業

――そのくらいヒリヒリした危機感が必要だと。

「座して死を待つのではなく自ら仕掛けていく覚悟が必要です。よく自動運転車が損保の脅威だなどといわれますが、我々にとって本当に怖いのは自動運転車ではなく、保険の外から入ってくるプレーヤー。典型的なのはグーグルなどのテクノロジー企業です」

「例えば、米国にあるトロブという会社は、2012年に設立されたベンチャー企業ですが、オンデマンド保険というこれまでになかった保険商品で急成長しています。大事な思い出の詰まったハンドバッグを旅行に持っていくので、そのバッグに旅行の間だけ保険を掛けられるといったサービスです。持ち物全部ではなくて、単品を対象に、しかもスマホのアプリで簡単に申し込みができるのは画期的です」

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