迫る3月14日 何もしないと「民泊OK」マンションに

同通知では、(1)規約で容認する場合(2)規約で規制する場合(3)使用細則(管理規約よりも下位の規定)に委ねる場合の規定例が示されています。民泊を禁止する場合は、下記を参考に管理規約を改定すればよいでしょう。

【内閣府地方創生推進事務局による規定例】
(2)特区民泊及び住宅宿泊事業の禁止を明示する場合の規定例
第○条 区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない。
3 区分所有者は、その専有部分を国家戦略特別区域法第13条第1項の特定認定を受けて行う国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に使用してはならない。

間に合わなければ議事録を残す

前述したように、民泊を禁止するには18年3月14日までに管理規約の変更を完了することが必要条件となりますが、管理規約の変更には、原則として管理組合総会における「組合員総数の4分の3以上」および「議決権総数の4分の3以上」の賛成が必要です(区分所有法第31条)。住民総会の開催準備などを考えると、現実には「もう間に合わない」というケースも出てきそうです。

どうしても3月14日までの規約承認手続完了が難しい場合は、次善策として、管理組合が民泊を禁止する方針である旨(民泊禁止規約への変更手続に向けて動いている旨)の意思表示を議事録などの「確証」として残す方法があります。つまり、「民泊は禁止する」という方針は既に固まっていることを証拠として残しておくのです。これを住民にも周知した上で、可能な限り速やかに規約を改定すれば、仮に住民が民泊事業の届け出を行ったとしても差し止められる可能性が高まります。

なお、民泊は住宅宿泊事業法の関連法令で「全国民泊」と「特区民泊」の2つに分類されています。内閣府地方創生推進事務局は前述の通知で、いずれの民泊についても認めるか否かの判断を規約に明記することとしています。

1.住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業
全国を対象に、年間180日を営業日数上限とする全国民泊

2.国家戦略特別区域法第13条第1項の特定認定を受けて行う国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業
国家戦略特区として定められた区域を対象に営業日数の上限がない特区民泊
※現在の「特区」…新潟市、東京都大田区、千葉市若葉区・緑区、大阪府の一部、大阪市、北九州市

つまり民泊を禁止する場合は、「全国民泊」、「特区民泊」のいずれについても、管理組合としての判断を規約に明記する必要があります。前述の禁止規定例の項目2と3は、それぞれ全国民泊と特区民泊を禁止するものです。

外国人観光客の増加に伴い、大きな注目を集めるようになった民泊。ですが住民の合意なき民泊は、予測できないトラブルの元凶となりかねません。ひいては民泊がマンションの価値を毀損する可能性も懸念されます。民泊禁止を確実なものにするには、早めの規約改定に加えて、違反に対する監視体制や管理会社との協力体制の確立なども必要になってくるでしょう。

渕ノ上弘和
マンション管理士・管理業務主任者。大手不動産管理会社で大規模分譲マンションの管理・運営、マンション全体の資産価値向上施策を実施する。その後、中古マンションの売買を専門に扱うハウスマートに入社。ITを活用した中古マンション仲介サービス「カウル」(https://kawlu.com/)の運営などを手掛ける。マンションの資産価値を高く保つ「コンドミニアム・アセットマネジメント」を提唱している。

(マネー研究所 川崎慎介)

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