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スマホで仕送りや買い物 銀行やATMに行く必要なし 暮らしに役立つフィンテック(中)

2018/1/28

写真はイメージ=PIXTA

 日曜日の夕方。筧家のダイニングテーブルでは新しい技術を活用した金融サービス「フィンテック」に関する談議が続いています。これまで「おつり投資」などを学んだ満は、スマートフォン(スマホ)を使って買い物ができるサービスにも関心があるようです。

筧幸子(かけい・さちこ、48=上) 筧良男(かけい・よしお、52=中) 筧満(かけい・みつる、15) 

筧満 僕ら未成年にも身近なフィンテックとしては、スマホなどで買い物ができる決済サービスがあるよね。

筧良男 携帯電話で買い物くらい私だってしたことがあるぞ。そんなに新しいものかな。

筧幸子 確かに日本ではスマホが本格普及する前から「おサイフケータイ」で買い物はできたわね。ただ、最近はサービスが多様化しているのよ。ひとつのきっかけは2016年、iPhone(アイフォーン)を使った決済サービス「アップルペイ」が日本に上陸したこと。今はアンドロイドのスマホで使える「アンドロイドペイ」もあるし、さらにスマホがiPhoneかアンドロイドかに関係なく使えるサービスも増えたわ。

 知ってるよ。「LINEペイ」に「楽天ペイ」、「オリガミペイ」もあるよね。

良男 「ペイ」だらけだな。どうすれば使えるんだ?

幸子 基本はスマホにアプリを入れ、利用するための簡単な手続きをすればOKよ。スマホ決済は大きく分けると前払いと後払いがあり、前払いは銀行口座を登録するなどしたうえでアプリにお金を入れておくの。後払いは代わりにクレジットカードを登録するのが一般的ね。お店で使うときは専用の読み取り機にスマホをかざすだけでいいタイプと、スマホに表示したバーコードなどの読み取りが必要なタイプが多いの。

 LINEペイの場合は専用カードの「LINEペイカード」をもらって買い物する方法もあるよ。JCB加盟店ならクレカと同様に使えるんだ。

良男 スマホ決済なのに結局、カードを使うのか。

幸子 入金にはスマホが便利だし、カードで買い物したらすぐにスマホに通知がくるから、広い意味ではスマホ決済のひとつかもしれないわね。

 それにLINEペイカードは買い物金額の2%のポイントがたまるからね。僕の毎月5000円の小遣いをすべてこのカードに入金して使えば、1年で1200円も得するよ。

良男 おいおい、中学生でも使えるのかい?

 スマホ決済は後払いでクレカが必要なタイプは高校生を除く18歳以上が対象になるのが原則だけど、前払いなら未成年でも使える例が多いんだ。事前に入金した額しか使えないという「上限」があるからね。

幸子 LINEペイ以外にも、楽天ペイでは通常のクレカ決済よりポイントが増えるし、オリガミペイはクレカのポイントとは別に店ごとに一定の割引があるケースが多いわ。

 それと僕がもし遠方の大学に入学して下宿したら、LINEペイで仕送りしてよ。

良男 スマホでお金も送れるのか?

幸子 決済サービスと並行して拡大中のフィンテックが送金サービスよ。LINEペイは送金機能もあるし、ほかにも「ヤフー!マネー」「Kyash(キャッシュ)」「paymo(ペイモ)」などがあるわ。

良男 銀行に行かなくても送金できるのかい?

幸子 決済と同様、事前に入金した範囲で送金するタイプと、クレカを登録して後払いの形で送金するタイプの主に2つがあるけど、いずれも銀行の店舗やATMに行く必要はなく、送金手数料もかからないの。

 送金相手の口座番号だって必要ないんだよ。

良男 それでどうやって相手にお金が届くの?

幸子 LINEペイならLINEの「友だち」同士であるだけでいいの。ほかのサービスも、インターネット上で連絡が取り合えれば基本的に大丈夫よ。受け取ったお金はスマホ決済で買い物に使えたり、現金として出金できたりするわ。

良男 話がうますぎる気もするな。注意点もあるだろ?

幸子 そうね。送金は無料だけど、出金時には手数料が必要になるのが一般的よ。中には「キャッシュ」のように出金自体ができないタイプもあるの。また、「ペイモ」は厳密には送金ではなく割り勘のサービスだから、お金を移動する目的に一定の制約があるといえるわ。逆にこうした制約が少ないLINEやヤフーの場合、送金機能を使うには本人確認が必要なの。不正な資金洗浄などに悪用されかねない面があるからよ。

良男 う~ん、少し難しいな。私はやはり現金派かな。

 確かに日本は現金社会だよね。外国に比べて際だって現金流通の割合が高いんだ。でも、国も20年の東京五輪に向けて非現金の決済サービスを増やす方針を掲げているんだよ。

幸子 野村総合研究所はクレカや電子マネーなど非現金の決済サービス取扱高が、23年に114兆円と17年に比べて5割以上拡大すると予測しているわ。今まで使えなかった店でもスマホ決済が可能になり、ポイントをためたり割引を受けたりするチャンスは増えそうよ。既存の金融機関もフィンテックを取り入れ始めたとはいえ、現金決済にこだわり過ぎると将来的には不便を感じる場面が出てきかねないの。「食わず嫌い」にならず、新しいサービスも研究しておくほうが無難だと思うわ。

■20年まで参入増、特典も充実
ポイ探代表 菊地崇仁さん
 スマホを使った決済や送金のサービスは、少なくとも2020年の東京五輪までは新規参入が続きそうです。国内勢では三菱東京UFJやみずほなど大手銀行がそれぞれ独自のサービスを研究していますし、中国のアリババ集団は「アリペイ」と同様の仕組みを使った日本向けサービスを始める見通しです。
 新規参入で競争が激しくなると利用者還元も増えます。具体的にはポイントを付与したり、割引きを提供したりする動きです。新規業者だけでなく、LINEなどが競争を勝ち抜くため一段と還元策を充実させることもあり得ます。個人もきちんとアンテナをはれば、お得に買い物ができる場面は広がるでしょう。早いうちに各サービスの違いを理解し、自分に合うものを選べば、そうしたチャンスを逃さず活用できると思います。
(聞き手は堀大介)

[日本経済新聞夕刊2018年1月24日付]

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