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インバウンド最前線

日本に来たら「和牛すし」 外国人が喜ぶニホンショク しきたりより楽しさ重視、「爆食い」狙った新メニューとは

2018/2/14 日経MJ

伝統的な日本食は魚料理が多いが、訪日外国人が求めるニホンショクはなんといっても、肉肉しい。すしも「肉化」してきた。多くの訪日外国人でにぎわうJR東京駅の地下街。和牛専門店の米沢牛黄木東京駅黒塀横丁店の看板で目を引くのは、ビーフスシ。そう、和牛をネタにしたすしだ。

米沢牛を使ったローストビーフ寿司(3貫1200円)と大トロあぶり寿司(同1500円)の2種類を用意。同店の「名物の一つ」(岩下優介店長)で今や注文する人の約10%がインバウンド。生魚が苦手な人にも支持されている。同店は和牛のすしを多めに取り入れた「外国人限定」のコースも用意。メニューも英語と中国語に加え、韓国語版も作成しているところだ。

■線香花火でゴージャスに演出

ところかわって東京・西麻布。地下へ階段を降りて扉を開けると、黒を基調とした店内に金やダイヤモンドのような飾りをふんだんにあしらった輝かしい空間が広がる。中国人観光客に人気の牛肉料理専門店「牛牛」だ。

火を噴く竜の盛りつけなど、中国人が喜ぶように演出する(東京都港区の牛牛)

「ワーオ」。線香花火でゴージャスに演出した和牛カルビを店員が運んでくると、上海から来日した女性など中国人7人は大喜び。スマートフォン(スマホ)を取り出し、楽しそうに動画などを撮影した。この日は個室で1人当たり9900円の豪華なコースを満喫。「肉も軟らかくておいしい」と満足げだ。

牛牛は「食べる」よりも料理をエンターテインメントとして「楽しむ」よう演出することで、派手好きの中国人の心をつかむ。和牛をはじめ、食べるとステータスが上がるといわれる和食を、高級感を打ち出して用意。店内づくりも控えめな内装ではなく、中国人にとって親しみやすい派手さを取り入れた。

すぐに飽きられるような一過性のブームというわけではない。11年に開店した同店はここ数年、着実にインバウンド需要が増加。中国の交流サイト(SNS)などで紹介され、今や来客の約1割が外国人になった。

牛牛の酒井直昭店長は、「中国人は(価格が高めの)体験型コースを好んでいるので、単価アップにつながる」と説明する。

7人グループの一人、上海在住の女性、王芳さん(54)。憧れの和牛をうれしそうに口に運びながら、金色の壁や赤いクッションなどの個室内を見回してこう語った。「ニホンの文化体験ができていいね」。なるほど、「日本らしさ」も見方によっては様々だ。

料理講師(中)の自宅で、天ぷらや鍋ものの作り方を学ぶアメリカ人親子(東京都江東区)

訪日外国人たちが独自の日本食を楽しむのは、飲食店だけではない。東京都江東区にあるマンション。ここに住む料理講師の松本彩さん(41)のテーブルに並んだのは手作り豆腐、シューマイ、天ぷら、塩こうじ鍋と、少し変わった組み合わせの「日本料理」だ。

「好物全てを楽しみたい」と希望して松本さんと一緒につくったのは、米国人女性のバレリア・アンドリューズさん(52)と娘のタビタさん(19)。ベンチャー企業のタダク(東京・千代田)が東京地下鉄(東京メトロ)と組み、実証実験的に始めた訪日外国人向け料理教室に参加した。

健康志向が強い親子。肉や野菜など材料は全て有機のものにこだわって選んだ。参加費は1人当たり1万4000円。かなりぜいたくだが、「こんな組み合わせで食べたかったし、とてもおいしかったわ」。店ではなかなかできない食経験に2人は大満足した様子だ。

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