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次世代リーダーの転職学

働き方改革、過半が「不満」 成功する企業の違いは リクルートワークス研究所副所長 中尾隆一郎

2018/1/26

つまり、働き方改革に対して「労働時間削減するだけでは意味がない」と論じる方がいるかもしれないが、この労働時間削減をきっかけにして、一部の企業は一足先に、各社ごとの戦略に基づき「業務改革を実現する」第2ステップに力強く進みだしていることがわかる。

表4「働き方改革に不満を感じる理由(n=295、複数回答)」 出典:リクルートワークス研究所「働き方改革に関する調査」

■働き方改革は野球からサッカーへの転換?

最後に、私自身の思い出を共有させていただきたい。

10年ほど前、ある事業部の責任者が「労働時間削減」を従業員に宣言した。しかし、営業職を中心に「労働時間を減らすと営業目標を達成できない」という声がたくさん出てきた。そこで、こうした不満を持っている従業員を対象に説明会を開き、合意を得ようとした。

働き方改革は「決まった時間の中で、たくさん点数を取った方が勝つ」サッカー型も選択肢に=PIXTA

そこでの事業責任者の説明はこうだ。「我々はこれまで、野球をしていました。何時間かかろうと9回まで戦って、点数が多いチームが勝つというルールのゲームです。しかし、これからは、サッカーをします。90分という決まった時間の中で、たくさん点数を取った方が勝つゲームです」。私自身は「うまいこと言うな」と感心していた。

しかし、最古参の営業スタッフが手を上げて質問した。「それで目標達成しなくてもよいのですか?」。これが、ここに集まった営業担当の偽らざる気持ちだった。

事業責任者は間髪入れずに「いいですよ」。続けて「でも、目標は下げません。みなさんは、きっと創意工夫をして目標達成をしてくれる。そう確信しているので、全社に先駆けて、これに取り組みたいのです」。

結局、これをきっかけに、この事業部は大きく変化した。労働時間は削減され、無事に目標達成も実現した。その後何が起きたか? 何よりも従業員満足度が向上し、離職率が下がったのだ。働きながら子育てをし続ける女性も増えた。働き方改革の進化には、トップの本気が不可欠ということを思い知らされた。

あなたの会社、転職先として考えている会社は、働き方改革を進化させているか? あるいは進化させようとしているトップがいるか? 確かめていただきたい。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜更新です。次回は2月2日の予定です。この連載は3人が交代で執筆します。

中尾隆一郎
リクルートワークス研究所副所長・主幹研究員。リクルートで営業部門、企画部門などの責任者を歴任、リクルートテクノロジーズ社長などを経て現職。著書に「転職できる営業マンには理由がある」(東洋経済新報社)、「リクルート流仕事ができる人の原理原則」(全日出版)など。

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