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ジンもクラフトばやり お茶風味など国内でも話題に

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今、英国では「クラフトジン」と呼ばれる少量生産の個性的な風味のプレミアムジンが大ブームとなっている。

かつて英国でジンと言えば安酒の代名詞。ジンという名前の由来でもある、ジュニパーベリーという植物をアルコールに浸して蒸留したこの酒は、17世紀半ばにオランダで熱病の特効薬として生まれたが、価格が安い割に度数が高いため、英国では労働者に広まりアルコール中毒患者が社会問題になるまでになった。英国人画家ウィリアム・ホガースの18世紀の版画「ジン横丁」には、ジンにおぼれ身を持ち崩す貧困層の人々が描かれている。

当時は、雑味が多く砂糖を加えた甘口のジンが主流だったらしいが、19世紀には蒸留方式の進化により、現在のようなすっきりとした味わいの辛口ドライジンが生まれ、これが米国に渡りカクテルベースとしても重用されるようになる。そして、約200年の年月を経て、「クラフトジン」が大ブーム。こんな風にジンがしゃれた飲み物になるとは、ホガースは夢にも思わなかっただろう。

ジンは、麦芽、トウモロコシ、ライ麦といった穀物を原料にアルコール度95度以上となるスピリッツ(蒸留酒)を製造。これに、風味付けのためジュニパーベリーのほか、様々なボタニカル(草根木皮といった植物素材)を加え再蒸留して造る酒だ。

クラフトジンは厳選したボタニカルを使用し、風味・味わいを引き出すため蒸留方法も各蒸留所でこだわる。アフリカ原産のバオバブの実やバラの花びらを使うなどユニークなものも多く、それぞれのジンは同じ種類のスピリッツだと思えないほど香りや味わいがバリエーションに富む。

「長らくジンといえば年配の人の飲み物で、英国のパブなどでは『ゴードン ロンドン ドライジン』や『ビーフィーター』といった大手の英国ブランドのジンしか扱っていませんでした。ところが、今やロンドンの普通のバーでも、20、30種類のクラフトジンを見かけることは珍しくありません」。こう説明するのは、洋酒の輸入販売を手がけるウィスク・イー社長、英国人のデービッド・クロールさんだ。

クラフトジンの流行は、米国に端を発したものだという。米国では近年、クラフトビールやクラフトウイスキーが人気を呼び、醸造所や蒸留所が増えているが、ウイスキーは出荷までに何年も寝かせ熟成させる必要があり、貯蔵スペースも必要となる。そのため、出荷までの合間により早く売りに出せ、資金稼ぎができるジンに注目が集まったのだ。

「作り始めてみると、ジンはウイスキーに比べ製法にほとんどルールがなく面白いお酒が造れることに気付いたのでしょう。米国には現在600ほどクラフトジンを作っている蒸留所があると聞きます」(クロールさん)。

英国のクラフトジンの先駆けとなる蒸留所「シップスミス」がロンドンにできたのが2009年。ロンドンに新しいジンの蒸留所ができたのは19世紀初め以来のことだった。創業地が著名なウイスキー評論家の故マイケル・ジャクソンのオフィス跡地であったことも話題となり、大きな注目を浴びる。以来、蒸留所の数は増え続け、今や200を超えるクラフトジンの蒸留所があるそう。

2017年度(同年9月までの1年)には、対前年比で約18%増となる4700万本のジンが英国で売れた。「クラフトジンはシングルモルトの世界と少し似ています。ブレンドウイスキーだと、例えば『私はジョニーウォーカーがいい』など消費者には大抵お気に入りのブランドがあるのですが、シングルモルトはそれぞれの味わいが大きく異なるので色々なものを試したくなる。それと同じで退屈しないんです」(クロールさん)。

様々な風味を持つクラフトジンはカクテルベースとして使い勝手がよく、バーテンダーの間で広まったことも人気を加速したそうだ。

また、クラフトジンばやりには、2005年に発売されたロンドン発のプレミアムトニックウォーター「フィーバーツリー」も一役買っているとクロールさんは指摘する。ジンのカクテルといえばジンとトニックウオーターを合わせたジントニックが最も手軽でポピュラーだが、それまでは人工甘味料や香料を使った大手メーカーのトニックウォーターが主流で、材料にこだわったトニックウォーターはなかった。

そうした中、クラフトジンの味わいを生かしてくれるキナの木の天然エキスを使用するなど材料にこだわった「フィーバーツリー」が登場、「プレミアムジントニック」などのカクテルを存分に楽しめるようになったというわけだ。

実はクロールさんは、2015年に自ら京都でクラフトジン造りに乗り出している。きっかけは、輸出を手がけていた日本のウイスキーが人気の高まりに伴い手に入りにくくなったこと。「最初はウイスキーを造るという案もあったのですが、どうせなら誰もやったことがないことに挑戦したくて」(クロールさん)と「京都蒸溜所」を名水で知られる伏見の近くに開設した。

「季の美 京都ドライジン」と名付けたクラフトジンの初リリースは2016年10月。ベースとなるスピリッツには、一般的な麦やトウモロコシなどではなくより甘くクリーミーな味わいとなるコメを使用。これに、ユズやヒノキ、ショウガや山椒など日本ならではの11種のボタニカルを漬け込んだ。一般的な製法ではこうしたボタニカルはすべて一緒にスピリッツに漬け込むのだが、「京都蒸溜所」ではボタニカルを6つのカテゴリーに分類し、それぞれを別々に再蒸留。その後にブレンドするという手法を取っている。

「スピリッツに漬けたボタニカルの香りやフレーバーが最高の状態になるのに要する時間や温度は、ものによって異なります。そのため、それぞれに合った時間・温度で再蒸留してブレンドしたいと考えたんです」(クロールさん)。蒸留後、最後に割り水に用いるのは、もちろん伏見の水だ。

「面白いのはボタニカルは蒸留すると、しばしば全く想像とは異なる味わいが出るんです。11種のボタニカルにたどり着くまで50、60種のボタニカルを試してみましたが、ワサビなどは元の辛みがなくなり、土っぽい風味になったんですよ」とクロールさんは目を丸くする。

「京都蒸溜所」はユズの香りが際立つ「季の美」のほか、宇治の老舗の玉露・碾茶を用いた限定6000本の「季のTEA 京都ドライジン」などをラインアップする。製造期間が短いため様々なバリエーションを作りやすいのもクラフトジンの特徴で、昨年は三越伊勢丹限定で、今は製造されていない国産ウイスキー「軽井沢シングルモルト」の樽で熟成した「季能美 京都 ドライジン ウイスキーカスク熟成」を売り出した。日本でも昨年あたりからクラフトジン人気が高まっており、限定900本の同製品は3日で売り切れてしまったという。

雑味が入らないよう、香り成分が凝縮されている皮を手作業で薄くむいたユズを使った「季の美」はグラスからこの果物の濃厚な香りが立ち上る。ラインアップのうち、かつて英国海軍で愛飲されていたジンのアルコール度数に合わせ、54.5度と度数を高めに造った限定品をストレートで飲んでみると、ボタニカルの特徴が非常にはっきり出て、山椒の味わいが印象的だった。

一番個性的だったのは、「季のTEA」で、その味わいはまるでお茶そのもの。「カクテルのベースとして、日本のバーテンダーの方に人気なんですよ」とクロールさんは言う。

ジンを使ったカクテル、マティーニを好む英国のヒーロー、ジェームズ・ボンドは、「シェイクじゃなくステアで」とこのカクテルをオーダーする。元々は「ゴードン」のジンが「ボンドのジン」として知られているようだが、これからボンド映画のマティーニも「プレミアムマティーニ」に変わってくるかも?

(フリーライター メレンダ千春)

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