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World Food Watch

ジンもクラフトばやり お茶風味など国内でも話題に

2018/1/25

日本でもファンが急増している英国のクラフトジン(右から2番目はドイツのもの)

 今、英国では「クラフトジン」と呼ばれる少量生産の個性的な風味のプレミアムジンが大ブームとなっている。

 かつて英国でジンと言えば安酒の代名詞。ジンという名前の由来でもある、ジュニパーベリーという植物をアルコールに浸して蒸留したこの酒は、17世紀半ばにオランダで熱病の特効薬として生まれたが、価格が安い割に度数が高いため、英国では労働者に広まりアルコール中毒患者が社会問題になるまでになった。英国人画家ウィリアム・ホガースの18世紀の版画「ジン横丁」には、ジンにおぼれ身を持ち崩す貧困層の人々が描かれている。

 当時は、雑味が多く砂糖を加えた甘口のジンが主流だったらしいが、19世紀には蒸留方式の進化により、現在のようなすっきりとした味わいの辛口ドライジンが生まれ、これが米国に渡りカクテルベースとしても重用されるようになる。そして、約200年の年月を経て、「クラフトジン」が大ブーム。こんな風にジンがしゃれた飲み物になるとは、ホガースは夢にも思わなかっただろう。

2014年に創業したサイレントプール蒸留所の「サイレントプール・ジン」 ハチミツの味わいがある

 ジンは、麦芽、トウモロコシ、ライ麦といった穀物を原料にアルコール度95度以上となるスピリッツ(蒸留酒)を製造。これに、風味付けのためジュニパーベリーのほか、様々なボタニカル(草根木皮といった植物素材)を加え再蒸留して造る酒だ。

 クラフトジンは厳選したボタニカルを使用し、風味・味わいを引き出すため蒸留方法も各蒸留所でこだわる。アフリカ原産のバオバブの実やバラの花びらを使うなどユニークなものも多く、それぞれのジンは同じ種類のスピリッツだと思えないほど香りや味わいがバリエーションに富む。

「サイレントプール・ジン」のボタニカル このジンには24種のボタニカルが使われている

「長らくジンといえば年配の人の飲み物で、英国のパブなどでは『ゴードン ロンドン ドライジン』や『ビーフィーター』といった大手の英国ブランドのジンしか扱っていませんでした。ところが、今やロンドンの普通のバーでも、20、30種類のクラフトジンを見かけることは珍しくありません」。こう説明するのは、洋酒の輸入販売を手がけるウィスク・イー社長、英国人のデービッド・クロールさんだ。

 クラフトジンの流行は、米国に端を発したものだという。米国では近年、クラフトビールやクラフトウイスキーが人気を呼び、醸造所や蒸留所が増えているが、ウイスキーは出荷までに何年も寝かせ熟成させる必要があり、貯蔵スペースも必要となる。そのため、出荷までの合間により早く売りに出せ、資金稼ぎができるジンに注目が集まったのだ。

「作り始めてみると、ジンはウイスキーに比べ製法にほとんどルールがなく面白いお酒が造れることに気付いたのでしょう。米国には現在600ほどクラフトジンを作っている蒸留所があると聞きます」(クロールさん)。

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