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注目の労使交渉 賃上げ企業はなぜ買いか(藤野英人) レオス・キャピタルワークス社長兼最高投資責任者

2018/1/23

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「日本経済が力強い内需を呼び起こせるかどうかのカギは企業の賃上げにある」

新年、最初のコラムとなります。遅ればせながら、2018年が皆さまにとってより良い年になりますことをお祈りします。1月4日の大発会では日経平均株価は約26年ぶりの高値を記録し、その後も強気の相場が続いています。相場格言通り「戌(いぬ)笑う」となるでしょうか。

17年をあらためて振り返ってみますと、日本企業の業績が順調に拡大した1年でした。その好業績を支えていたのが旺盛な外需です。

■賃上げにより力強い内需を呼び起こす

日本経済がここからさらに伸びていくためには、外需によって得た利益を糧にして力強い内需を呼び起こす必要があるでしょう。

そこで注目されるのが「賃上げ」です。景気がいいといわれるなかでも「実感としてはそうでもない」という人は多いのではないでしょうか。これは賃金水準が低いままであることが理由として挙げられます。働き方改革によって残業が抑制された結果、「収入が目減りして、かえって家計が苦しい」という声もあります。

これまで、多くの日本企業が利益を確保するために実行してきた第1の対策は賃金の抑制でした。正規社員を減らす一方、非正規社員やパート、アルバイトの雇用を増やして人件費を削減したのです。ところが、今は特に流通業、小売業などで深刻な人手不足が起こり、採用を増やそうにも賃金を上げなくては対応できない状況です。

足元の決算でも、流通系の企業では人件費が急激に上がったことによって業績予想を下方修正した例もあります。

とはいえ、こうした事例はまだ一部です。労働力確保のための「やむを得ずの賃上げ」は起きているものの、社員への利益還元という意味で積極的な賃上げをする企業はいまだ多くありません。

アベノミクス以降も「労働分配率」は低い水準のままです。労働分配率とは、企業が生んだ付加価値のうちどれだけが賃金など人件費として使われたかという指標で、財務省が法人企業統計のデータに基づいて算出しています。

それによると、労働分配率は12年度には72.3%でしたが、毎年低下を続け、16年度には67.5%となりました。企業の利益はもっぱら内部留保に回ってしまい、その恩恵が社員に行き渡っていないということです。

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