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もうかる家計のつくり方

65歳で貯蓄420万円 独身女性に迫り来る老後破綻 家計再生コンサルタント 横山光昭

2018/1/24

PIXTA

 老人介護施設で介護補助員として働く女性のSさん(65)は夫と15年ほど前に離婚して以降、一人暮らしです。35歳の息子はすでに結婚して家庭を持ち、別々に暮らしています。Sさんが今の職場で働けるのは70歳までで残り5年ですが、貯蓄は420万円しかありません。「このままでは老後破綻する。投資で老後資金を増やしたい」と相談に来ました。

■収入は年金含めて月28万円

 Sさんは離婚したとき、元夫との財産分与でマンションと現金600万円を受け取りました。Sさんはできるだけその600万円に手をつけない生活を心がけてきたそうですが、色々と物入りの時期もあったようで、現在は420万円まで減っています。毎月の収入は介護補助員の手取りが約16万円、年金が9万8000円、息子からの仕送りが2万円と合計で約28万円です。今のところ生活に困ってはいませんが、介護補助員の収入がなくなれば今の蓄えはあっという間になくなり、老後破綻することはSさん自身も自覚しています。

 では、老後資金をどのようにしてためるのか。Sさんなりに考えた結論が投資でした。ただ、Sさんにはこれまで投資経験はなく、まったくの初心者です。それでも「私にもできる投資はないか。金融機関で○○という商品を薦められたが、購入しても大丈夫か」と期待を込めた様子で問いかけてきます。

■投資は未経験、ハイリターンを狙うが…

 Sさんが投資先として検討しているのはハイリターンを狙うアクティブ型の投資信託です。ハイリターンを期待したい気持ちはわかりますが、リスクとの関係をちゃんと理解していません。このため「まず投資」と考える前に、投資する余裕があるのか、つまり投資に充てる資金がどれくらいあるのかを探るため、家計の状況を聞きました。

 Sさんはマンションの住宅ローンは完済しており、住居費はあまりかからないため、月28万円の収入があれば貯蓄をしながら暮らしていけそうです。しかし、実際には毎月ほとんどお金は残りません。「人生は一度きり。行きたいところに行き、食べたいものを食べるのがモットー」といい、旅行や外食に頻繁に出かけており、食費や娯楽費が膨らんでいます。

 旅行先ではスマートフォン(スマホ)とタブレット端末で記念の写真や動画を撮影するのを楽しみにしていますが、スマホとタブレットの通信料がそれなりに家計を圧迫しています。一人暮らしなので仕事をしている日中は自宅の電気などは使わなくてすむはずですが、水道光熱費も高めになっています。Sさん自身も「なかなか生活の質を落とせず困っている」と話します。

■「月12万円」の生活に寒け

 旅行や外食といったこだわりのある支出が膨らみ、通信費や水道光熱費などほかの費目の支出も多いという典型的な「メタボ家計」だと気付いた今、家計の改善に手をつけなければ働けなくなった後に生活費で困窮することは目に見えています。さらに働ける期間は5年を切っています。5年働いて増える年金額も毎月5000円程度なので、現状では投資に充てる資金があるとはいえません。

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