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「軽井沢の別荘を民泊に」 星野リゾートが投じた一石 持ち主からの要望受けて構想、町は全域で通年禁止の方針

2018/2/1 日本経済新聞 朝刊

長野県軽井沢町は静穏な環境確保を理由に、全域で民泊を通年禁止する方針だ(PIXTA)

 ホテル大手の星野リゾート(長野県軽井沢町)が軽井沢町で管理を請け負っている別荘を使い、民泊事業への参入を検討していることがわかった。同町は静穏な環境確保などを理由に、町内全域で民泊を通年禁止する意向だが、国は過度な規制に難色を示す。独自の条例を検討中の長野県は市町村全域での規制はしない方針のため、星野リゾートは参入余地があると判断したようだ。

 星野リゾートによれば、管理を請け負っている別荘の持ち主から「使わない時期に貸したい」との声が寄せられているという。星野リゾートが運営するホテルとの間で顧客を奪い合う可能性もあるが、軽井沢全体の集客力が高まれば、同社が町内で運営する観光施設の集客にも寄与するとみられる。

 ただ軽井沢町は「別荘には静穏な環境を求める人が集まる。民泊が始まると町のブランド低下も懸念される」(環境課)として、町内全域で通年の民泊禁止を求めている。星野リゾートの動きに対しても「(全面禁止を求める)町としての姿勢は変わらない」(同)と譲る気配はない。

 長野県は難しい対応を迫られる。県条例による市町村全域での規制については「住宅宿泊事業法(民泊法)の趣旨にそぐわない」と否定的だ。今のところ別荘周辺での民泊を規制するが、管理者が常駐する場合のみ別荘周辺でもできるとする方針。一方で市町村の意見を尊重する考えも示しており、全面禁止を強く求める軽井沢町と協議していく。

 星野リゾートは長野県に対して「軽井沢町は使われていない別荘が多く、美しい環境を守るためには放置された家屋の管理や人の往来・交流が重要」と、民泊推進を求めている。条例案をつくる県食品・生活衛生課は「民泊を巡る軽井沢町の動きは全国的に注目されているが、(星野リゾートの参入検討で)さらに注目が集まることになるだろう」と述べた。

 日本での民泊を巡っては民泊仲介世界最大手の米エアビーアンドビーが先行していたが、民泊法が17年に成立して以降は、国内大手の動きも目立つ。

 リクルートホールディングスは民泊法が施行される18年6月以降、不動産情報サイト「SUUMO(スーモ)」で扱う賃貸物件のうち、空室で民泊できる部屋をエアビーアンドビーで紹介する。楽天も不動産情報サイトのLIFULL(ライフル)と共同出資で楽天ライフルステイ(東京・千代田)を設立。6月に民泊仲介サイトの運営を始め、旅行予約サイトの楽天トラベルにも情報を載せていく。

 一方で、すでにエアビーの国内物件は現在6万件ほどに達しており、民泊間の競争も激しくなっている。東京や大阪など大都市では、廃業する民泊も出てきた。星野リゾートが軽井沢の自然の中にある別荘を貸し出せば、マンションの一室を貸すような都市部の民泊との違いが出せるとみられる。

[日本経済新聞朝刊2018年1月19日付を再構成]

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