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つみたてNISA、まず先に商品選びを 手順を指南 つみたてNISAをマネーハック(3)

2018/1/22

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今月のマネーハックのテーマは2018年1月からスタートした「つみたてNISA」(積み立て型の少額投資非課税制度)です。これまで述べてきたとおり、つみたてNISAは個人が資産形成をするのにとても優れた仕組みです。今回はスタート手順を説明します。

人によって順番は前後するかもしれませんが、おおむね手順は以下のようになります。

(1)まずは「運用商品選び」

つみたてNISAでは金融機関を選ぶより先に、「この商品を買う」という方針を決めたほうがいいでしょう。つみたてNISAの金融商品は基本的に低廉なコストで購入できる投資信託ですので、初心者であってもさほど心配する必要はありません。

■バランス型の投信なら自動でリバランス

それでも、投信には様々なタイプがあります。主な投資対象が日本株であったり、外国株であったり、それとも債券も含めた国内外の複数の資産であったり(こうした商品をバランス型投信といいます)という違いがあります。これらの商品は金融機関によって取り扱いに差がありますので、まず商品に着目しなければなりません。

それでは実際の運用です。日本株の投信と外国株の投信を2つ選択し、投資資金の割合を4:6のように組み合わせて買うことも可能ですが、あなたがもし投資について学んでいくステップにあるなら、バランス型の投信を買ってみてはどうでしょう。これ一つで国内外に分散投資ができますし、手数料は史上最安といっていいくらい低く抑えられている商品ばかりです。

つみたてNISAは非課税投資期間が20年間継続するものの、売却してしまうと非課税メリットが終了してしまいます。バランス型投信であれば、ファンドの中で投資割合の調整(リバランス)を行ってくれるため、投信の購入者は売買を伴わずに自動的にリスクの調整ができるという魅力もあります。

また、運用方針としてアクティブ運用を受け入れるかも自分で決めるべき選択肢です。アクティブ運用とはインデックス(市場平均)を上回る何らかのコンセプトをもって資産運用を行うことです。アクティブ型の投信は運用しているファンドマネジャーの「顔」が見えやすいこともあって親しみやすく、人気があります。しかも、つみたてNISAではアクティブ型としては手数料が安い投信が選ばれているため、選択肢として検討する人もいるでしょう。

■初心者ならインデックス型投信で十分

ただ、実際には投資初心者ならインデックス投信で十分ではないでしょうか。インデックス型の投信は何より手数料が安いので、つみたてNISAのような長期投資では運用成績に着実にプラスになります。インデックス投信を使った投資には「余計なことをしない寡黙な職人」のようなところがありますが、シンプルかつ確実に経済成長をあなたの収益に変えていくことができるでしょう。

ネット証券など各種のウェブサイトでは希望に応じた投信のフィルタリング(絞り込み)が簡単にできますので、好みの商品を探してみましょう。

(2)次に「金融機関選び」

つみたてNISAの口座を開設する金融機関を選びます。すでに商品候補が決まっていますので、当該商品を取り扱っている金融機関を自動的に選択します。金融機関によってつみたてNISAの営業姿勢には温度差があるといわれており、積極的に取り扱っていないところは避けておいたほうがいいかもしれません。

もし、あなたが一つも証券会社に口座を持っていないのであれば、この機会に口座を開設し、NISA以外にも証券投資をできる環境をつくってしまうとあとあと便利でしょう。

つみたてNISAでは定期的に積み立てをする必要があり、あなたのメインバンクから手数料ゼロで引き落としをしてくれるかどうかだけは確認しておきましょう。一般的に、証券会社は積み立て投資については指定した金融機関から無料で引き落としをしてくれるようです。

(3)毎月の積立額を決定する

最後は毎月の積立額の決定です。つみたてNISAでは年間40万円の投資枠がありますから、その範囲内で金額を設定します。定期的な積み立ては自分でタイミングを決められるとはいえ、普通の会社員は月に1度給料をもらうわけですから、投資も月に1度にするのがいいでしょう。

積み立ての日付を指定できる場合は、給料振込日の翌日が適当です。1カ月生活したのちに投資しようとすると、給料振込日の前日には残高不足になっており、投資できない可能性があります。

■積立金はボーナス月の増額もできる

また、つみたてNISAの利点として強調しておきたいのはボーナス月の増額設定です。設定の詳細は各金融機関によりますが、「月1.5万円×12カ月+年2回ボーナス月11万円ずつ」というように設定すれば、年40万円の非課税投資枠をフル活用できることになります。

(4)日々の「家計管理」も忘れずに

最後に少しだけマネープランの観点からアドバイスしておくことがあります。それは家計管理です。

毎月の積み立て投資を始めることになるわけですが、金額相当の節約を必要とする場合、日々の家計管理もまた投資の一部です。

すでに行っていた積み立て預金の枠をつみたてNISAに回してもかまいませんが、できればこのタイミングで節約を頑張って、投資原資を新たに確保してみてはどうでしょうか。

月3.3万円の節約を実現し、つみたてNISAで年40万円を投資できれば20年で800万円の元本増になります。長い目で見ると大きな家計収支の改善になるはずです。

■続けることこそ効率的な資産形成

さて、つみたてNISAをスタートさせたら、やることはほとんどありません。相場が上がっても下がっても、積み立て投資を続けていくことが最も効率的な資産形成となるからです。

市場が下がっているとき、含み損が出ているときほど、投資をやめたりせずに相場の回復を待ちましょう。この間に積み立て投資を継続することで長い目でみて合理的な(安いときにたくさん買った)投資行動を選択したことになります。

つみたてNISAはスタートにひと手間あっても、そのあとは「ほったらかし」にできるくらいがいいのです。どうしても落ち着かないという人は『お金は寝かせて増やしなさい』『ほったらかし投資術』などの書籍(つみたてNISAのコンセプト理解に役立ちます)を読んでみてください。

最終的にあなたを納得させられるのはあなた自身の投資知識です。つみたてNISAのスタートとあわせて投資に関するリテラシーも少しずつ高めていきたいものです。

マネーハックとは ハックは「術」の意味で、「マネー」と「ライフハック」を合わせた造語。ライフハックはIT(情報技術)スキルを使って仕事を効率よくこなすちょっとしたコツを指し、2004年に米国のテクニカルライターが考案した言葉とされる。マネーハックはライフハックの手法を、マネーの世界に応用して人生を豊かにしようというノウハウや知恵のこと。
山崎俊輔
AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に『誰でもできる 確定拠出年金投資術』(ポプラ新書)など。http://financialwisdom.jp

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