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新春オペラコンサートで司会 旧友と再会(井上芳雄)

第14回

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NIKKEI STYLE

井上芳雄です。今年のお正月は、1月3日に生放送された『第61回 NHKニューイヤーオペラコンサート』の司会を務めました。オペラ歌手の方々の歌声を目の当たりにして、人間の身体でこれだけの声が出せるんだと驚き、放送後には出演者の1人で東京藝術大学時代の同級生でもある藤木大地君と久しぶりにゆっくり話もできました。いろんな意味で刺激を受けた仕事始めでした。

『NHKニューイヤーオペラコンサート』は新春の恒例コンサートで、海外や国内の第一線で活躍するソリスト(独唱者)の方々がNHKホールに会して、オペラの名曲を歌います。今年のテーマは「幻想と現実の間」。第1部は『フィガロの結婚』『魔笛』といったモーツァルトの7大オペラからの名曲を再構成した「モーツァルト・ファンタジー」で、僕が「語り」を務めました。ミュージカル『モーツァルト!』で長くモーツァルト役をやっていたので、声をかけていただいたようです。そして第2部が没後150年を迎えるロッシーニ、第3部がヴェルディ、プッチーニ、ワークナーの名曲という構成でした。後半では、NHKの高橋美鈴アナウンサーと一緒に司会を務めました。

司会の経験はあるのですが、今回は長い歴史があるコンサートでNHKでの全国生放送。藝大を出ているものの、オペラはそう詳しくないので、不安はありました。ただ、メインはオペラ歌手の皆さんの素晴らしい歌なので、そこに興味を持ってもらえるように進行できれば、と思って臨みました。

その謙虚な気持ちの一方で、「ちょっと笑いをとりたい」という願望も捨てきれず、笑いをはさむチャンスをずっとうかがってました。スタッフの方に頼まれたわけではないのですが、語りは自由な立場なので、見ている人をクスッとさせてみたかったんです。それで、たくさんパンダが生まれたところで「どれがシャンシャンかな?」とアドリブで言ってみたり。そこが今回、自分なりに頑張ったところでしょうか(笑)。

僕は藝大の声楽科を卒業しているのですが、当時はミュージカルで頭がいっぱい。オペラをちゃんと勉強してきませんでした。それを残念にも思っていたので、また接する機会を与えていただいて、すごくうれしかったですね。

実際に目の前で聴くと、やはり歌の迫力がすごかった。オペラ歌手は、自身が生の楽器なんだと実感しました。人間の声を、楽器としてどこまで使えるか。スポーツで、これだけ跳べた、これだけ速いと競っているのと同じように、人間は鍛錬すればここまで声を出せるんですね。

生声でマイクを使わずに、ほとんどが外国語。今はどんなコンサートや歌番組でも、歌手の目の前のモニターに歌詞が出るのですが、『ニューイヤーオペラコンサート』ではまったくありませんでした。自分のレパートリーは全部覚えているのです。

全国の人に向けたNHKの生放送で外国語で歌うのは、すごいプレッシャーだと思います。でもオペラは、それが当たり前の世界だから、鍛え方が違うとあらためて思いました。僕たちミュージカル界の俳優は、まだ甘えているところがあるんだなと。

いろんな歌手の方と話して印象に残ったのは、新春の恒例になっているコンサートだけに、出演できるのはすごく名誉で、うれしいと口をそろえていたことです。というのも、日本のオペラの市場は大きいとは言えず、ミュージカルや演劇みたいに1カ月も続けて公演できません。1回歌うと、のどを休めるために1日休むといった制約もあったりして、なかなか一般の人に知ってもらう機会がない。そんななかで、NHKが毎年お正月にコンサートを生放送してくれるのは、オペラの魅力を多くの人に伝えるという点で、とても意味があることなんだ。皆さん、そう言ってました。ミュージカル界も今でこそブームといわれますが、宣伝するのに苦労する時代も長かったので、思いはよくわかります。

新しいことに挑戦する勇気

出演者の1人である藤木大地君は藝大の同級生です。以前はテノール(男声の中高音域)でしたが、カウンターテナー(女声に相当する高音域)に転向して、国際的に活躍しています。

彼は宮崎出身で、僕は福岡なので、九州の声楽の大会などでよく一緒になり、高校生のころから知っていました。本当に歌がうまくて、同学年に僕より歌がうまい人がいるんだ、と初めて思った相手でした。それで2人とも藝大に入り、同級生になり、同じ先生の門下でずっと一緒だったんです。

彼の活躍は知っていましたが、共演したのは今回が初めてです。コンサートが終わった後、久しぶりに2人で飲みました。大地は、卒業してから、いろいろな経験をして、ここに至ったと話してくれました。

僕は藝大に入ったとき、世の中には歌がうまい人がこんなにいるんだと本当に驚きました。大地もその1人です。ところがその大地が、外国で学んだりするうちに、上には上がいると思い知ったそうです。このままいってもトップにはなれないと考え、一度スタッフに転向したといいます。それで何かの機会にカウンターテナーで歌ったところ、手応えを得て、また頑張って今に至っていると話してくれました。

あれだけ歌がうまくて、僕が到底かなわないと思っていた大地が、それまでやってきたことを捨てて、カウンターテナーに転向して、それで世界で認められるようになったというのです。話を聞いて、すごいなと思いました。その勇気をなかなか持てないと思います。才能がありながら、それを一度捨てて、新しいことに挑戦するって。僕も頑張らなければと思って、すごく刺激を受けました。 

彼も、僕がミュージカルなどで俳優としてやっていることを「本当にすごいね」と言ってくれました。「デビューして18年もの間、ずっと第一線でやれているのはすごいことだよ」って。昔は、そんなふうに人を褒めたりするやつではなかったんですけどね(笑)。経験を重ねて、変わったんだなと思いました。大地と久しぶりに会えてうれしかったし、いい話ができました。

そんな再会もあり、オペラのすごさをあらためて感じたり、取り組んでいる人たちの思いを知ったりして、いろんな意味で司会をやれてよかったです。いい仕事始めでした。

スタッフの方と話していて、ミュージカル版ができたらいいですねという話題にもなりました。『ニューイヤーミュージカルコンサート』、ぜひ実現してほしいです。

井上芳雄
 1979年7月6日生まれ。福岡県出身。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。大学在学中の2000年に、ミュージカル『エリザベート』の皇太子ルドルフ役でデビュー。以降、ミュージカル、ストレートプレイの舞台を中心に活躍。CD制作、コンサートなどの音楽活動にも取り組む一方、テレビ、映画など映像にも活動の幅を広げている。著書に『ミュージカル俳優という仕事』(日経BP社)。

「井上芳雄 エンタメ通信」は毎月第1、第3土曜に掲載。第15回は2月3日(土)の予定です。

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