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強欲企業が生んだタイタニックの悲劇 事故対策の欠如 失敗だらけの人類史

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/1/28

ナショナルジオグラフィック日本版

1912年4月14日深夜、氷山に衝突して沈没したタイタニック号

 「失敗の歴史」ともいえる人類の歴史の中で、悲惨な事件・事故は数知れない。それが人間の欲望や過失に起因するものであるなら、我々は過去を振り返り、二度と過ちを起こさぬよう学ばなければならない。

 ナショナル ジオグラフィックの書籍『失敗だらけの人類史 英雄たちの残念な決断』(ステファン・ウェイア著)でも、そのような歴史的な事件・事故は多く取り上げられている。1912年に起きたタイタニック号の沈没事故もその一つだ。あまりにも有名な出来事ではあるが、人類が犯してきた「失敗」の代表格として、ここで改めて紹介しよう。タイタニック号を沈没へと導いた異常な自尊心と傲慢は、繰り返し語られてしかるべきだろう。

 下層デッキへの浸水を許した設計ミスは、それほど馬鹿げた過ちではない。航路の選択にしてもそうだ。あの宿命的な夜に1500人あまりもの命を奪ったのは、事故の可能性を無視して十分な救命ボートの装備を怠った、タイタニック号の設計者と所有者のとてつもない愚かさにほかならない。

■究極の豪華客船

 タイタニック号は、大西洋横断航路の独占を目指す3隻の姉妹船のうちの一つだった。建造事業は、イギリスの海運会社ホワイト・スター・ラインと造船会社ハーランド・アンド・ウルフとで行われた。1万4000人を動員して3年がかりで建造されたタイタニック号は当時、動く物体として世界最大だった。

 タイタニック号は「絶対に沈まない」とうたったことは、誇大な宣伝の古い例として、当然のことだったのかもしれない。当時、ホワイト・スター・ラインはキュナード・ラインと熾烈な競争を繰り広げており、この競争に何が何でも勝たねばならないとの決意で、究極の船の建造を決めたのだ。

 タイタニック号は全長268メートル、全幅28メートル。29基のボイラーを159個の石炭炉で駆動し、最高速度23~24ノットで大西洋を素早く横断できるとの触れ込みだった。業界誌『シップビルダー』はタイタニック号を、その水密区画の設計と機能(実際は悲惨なまでの傷物と判明する)から、「まず間違いなく沈まない」船と評した。しかし、立派な煙突4本のうち実際に煙突として使うのは3本だけで、1本は主に外観を整えるためのものだった。

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