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ラグビー観戦の外国人は富裕層? W杯に地方手ぐすね 1月27日から全世界でチケット抽選販売、周遊旅行に期待高まる

2018/1/26 日本経済新聞 夕刊

横浜、大分など12地域で試合が開かれる(17年11月、横浜市の日産スタジアムで開かれた日豪代表の親善試合)

 ラグビーの2019年ワールドカップ(W杯)日本大会に向け、チケットの一般抽選販売が18年1月27日から全世界で始まる。ラグビーW杯は欧米・オセアニアから富裕層が多く訪れ、観戦に加えて観光面の効果も大きい大型イベント。訪日客の消費額底上げや地方分散には絶好の機会だけに、大分など開催12地域にとどまらない誘客合戦が始まっている。

ラグビーW杯の試合が行われる豊田スタジアム(2017年8月、愛知県豊田市)

 「ラグビーW杯は地方観光のあり方を見直すチャンス」と強調するのは、大分県の由布院温泉観光協会・桑野和泉会長。人気の観光地だが「価格競争では地域に何も生まれない」と危機感は強く、量から質へ転換のきっかけに期待する。

 同県ではニュージーランドなど強豪国の予選と準々決勝が開催され、観戦客の25%を欧米豪が占めると予想する。「イングランド大会では15泊した人もいたという。今回も連泊して各地を回ってほしい」と、県は旅行会社と連携し別府湾クルーズなど旅行商品の開発を急いでいる。

 政府は20年に8兆円の訪日消費額の目標を立てているが、現状のアジア系の買い物客などでは限界があり、滞在日数を延ばして地方を回ってもらうことが重要。大分県も韓国など短期のアジア系に欧米系を増やす好機と、観光関係者向けに講習会を相次ぎ開催する。

 会場となる花園ラグビー場のある大阪府東大阪市では2月、受け入れセミナーが開かれる。町工場が集積し観光振興は二の次だったが、地元企業による土産物開発や、ホテルの建設計画もある。

 決勝戦などが開かれる横浜市が英と豪で17年に実施した調査では、英国の年収10万ポンド(約1500万円)以上の6割以上が「高関心層」など、高所得者ほど関心の高いことがわかった。ラグビーW杯は開催期間が1カ月半と長く、同一チームの予選全試合がセットになったチケットもある。

 日本政策投資銀行はラグビーW杯による開催都市の経済波及効果を2330億円と試算。「高所得層の受け入れノウハウを学び、次のインバウンドにつなげるといったソフト面での効果は大きい」とし、大会をきっかけに観光地としての知名度アップなどが期待できるメリットを挙げる。

 開催地以外でも誘客の動きは広がり、金沢市の都市型ホテル8社の社長・総支配人でつくる誘客プロジェクトチームは昨秋、シドニーで観光セミナーなどを開催した。瀬戸内海の自治体などで構成するせとうちDMOは英国のマーケティング会社と提携、英国のメディアや旅行会社に対する瀬戸内エリアのPR活動や旅行商品作りなどを通じた富裕層へのアピールを目指している。

◇  ◇  ◇

 ラグビーW杯は19年9~11月に日本各地で開かれる。チケット販売は、まず日本ラグビー協会に登録する関係者やファンクラブ会員などを対象とした先行抽選という形で18年1月19日にスタート。27日には国内外向けの一般抽選販売も始まる。その後、開催都市住民向けの先行抽選申し込みなどがあり、19年1月に一般販売(先着)を予定する。

 購入にはインターネットでの「チケットID登録」が必要。入場料は2千円といった試合もあるが、決勝戦を正面から観戦できるチケットは10万円などさまざまで、各代表チームの予選すべてが見られるチームパックなどもある。このほかに、豪華な食事がセットになったプログラムなども発売される。

[日本経済新聞夕刊2018年1月18日付を再構成]

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