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女性管理職が語る

多様性を生かす企業文化 個人の能力、最大限引き出す P&Gジャパン執行役員生産統括本部担当 高木琴美氏

2018/1/18

高木琴美・P&Gジャパン執行役員生産統括本部担当

 管理職として活躍する女性が仕事やプライベート、働き方への思いを自らつづるコラム「女性管理職が語る」。第4回は、P&Gジャパン執行役員生産統括本部担当の高木琴美氏です。

◇  ◇  ◇

 私は幼いころから「女性の幸せは、いい人と結婚して寿退社をし、専業主婦として子どもを産み育てることだ」と父親から言い聞かされていました。でもその価値観をまったく受け入れることができませんでした。

 私は「女性にも働く権利がある」と強く思いました。父への反発心もあり、「男性に食べさせてもらいたくなんかない」という意地っぱりな面を持つ、自己実現欲の旺盛な女性に育ちました。

 入社したとき、男女雇用機会均等法が施行されてから4年たっていましたが、大卒女子を総合職として雇用する企業は多くありませんでした。同級生も大半は一般職として就職していました。総合職で入社しても実態は「お茶くみマネージャー」だったり、昇給や昇格などで男性に差を付けられたりしていました。

 当社では、すでに男女の待遇差はありませんでした。国籍や年齢や宗教、経験や価値観などが違っても、すべての従業員に等しく機会を与え、サポートしていました。

 当社は部門別採用なので、入社時に希望の部署を選択します。私は生産統括本部を希望しましたが、「大半の社員が理系の部署に、文系の私を採用してくれるのだろうか」と不安でいっぱいでした。内定をもらったときには、私の経歴よりも潜在能力を買ってくれたのだとうれしく思いました。

 工場初の女性管理職になったときも同じでした。現場で働いている人の大半は男性でしたが、「女性だからダメ」と言う人は皆無でした。むしろ「できるから行け」と背中を押してくれたのは男性上司でした。

 最初の半年は結果がなかなか出せずに、陰で泣いたこともありました。でも「自分が希望した道、やるしかない」という強い気持ちと、周りから学びや助言をたくさんもらい、気がつけば結果がついてきていました。

 2013年には国内初の女性工場長になりました。就任初日に工場の門をくぐったときの感激と感動は今でも忘れられません。「文系のくせに」「女性だから」といった先入観を持つことなく、私を支えてくれた上司や同僚のおかげで、思い描いたキャリアを積むことができました。

 こうした企業文化の根底にあるのが、ダイバーシティー&インクルージョン(多様性の受容と活用)です。一人ひとりが価値を認められ、自分の能力を最大限に発揮できる社風。仕事に対する健全なプレッシャーを与えつつ、助けが必要な社員には惜しみないサポートを与える文化。私自身の価値観に合っていたから長く会社に貢献することができました。

 今、多くの企業がダイバーシティー&インクルージョン推進に取り組んでいます。でも女性活躍だけになったり、男性の参加意識が低かったりする事例も耳にします。「貴重な人材を生かしきれてないんだな、もったいないな」と感じます。

 今、リーダーとして、一人ひとりの能力を短期的にも長期的にも最大限に引き出すことを念頭に置いています。それが自分の組織、ひいては企業全体の生産性と業績向上につながるからです。これこそが真のダイバーシティー&インクルージョンと考えています。

たかぎ・ことみ
 1990年、プロクター・アンド・ギャンブル・ファー・イースト・インク(現P&Gジャパン)入社。2017年から生産部門全体を統括する執行役員。2児の母。

[日経産業新聞2018年1月11日付]

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