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「かざす」か「読み取る」か スマホ決済、五輪へ熱戦 訪日客に照準、ソニーはフェリカ採用を中韓に働きかけ

2018/2/2 日本経済新聞 朝刊

スマホ決済は端末にかざすか、QRコードなどを読み取るかという2つの方法が主流だ。写真はフェリカを使った自動販売機(左)とLINEペイ

 多くの外国人が訪れる2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、スマートフォン(スマホ)を使った決済を巡る競争が日本で激しくなる。ソニーはスマホ決済に必要な無線通信技術「FeliCa(フェリカ)」の採用を中韓のスマホメーカーに働きかけ、2019年にも訪日客が利用できるようにする。アジアを中心に利用者が多い「QRコード」型も普及し始めており、日本で根強かった現金指向が変わる可能性が出てきた。

 スマホ決済は中国を中心にアジアで爆発的に普及する。一方、日本は拡大基調にあるが中国や東南アジアなどに比べると普及が遅れる。ただ訪日客の増加に伴うインフラ整備が今後は急ピッチで進む。

 野村総合研究所によると国内のスマホ決済などを含む電子決済の市場規模は2023年に114兆円と、17年から5割強伸びる見通し。ソニーはまずスマホ決済を日常的に利用する中国などの訪日客に利用してもらう環境を整えフェリカの普及をめざす。

 ソニー子会社でNTTドコモ、JR東日本も出資するフェリカネットワークス(東京・品川)が、中国や韓国で販売するスマホメーカー大手などに採用の打診を始めた。フェリカに対応した無線通信チップのスマホへの搭載を提案し、19年半ばまでに中国や韓国、台湾など訪日客の多い地域で採用した商品の販売をめざす。ソニーは通信チップの利用量に応じライセンス収入を得る。

 フェリカを採用する「おサイフケータイ」の知名度を高めるため、中韓の旅行業者などと組んだキャンペーンなども展開する計画だ。決済サービスに向けて金融機関とも連携する。来日前にフェリカを使って決済するためのアプリをダウンロードしてもらい、到着直後から使える仕組みづくりを進める。

 おサイフケータイは04年にドコモが携帯電話に採用して始まり、16年に米アップルの「iPhone7」に採用されて対応端末が一気に広がった。格安スマホでも実装が始まっており、日本で流通するスマホの大半に既にフェリカの通信チップが組み込まれている。

 フェリカの通信チップはスマホのほかJR東日本の「Suica(スイカ)」といった電子マネーにも供給されており、累計で11億個超が出荷された。

 一方、スマホ決済が先行して普及する中国では、QRコード型の利用者が大部分を占める。中国人旅行者は9割超がスマホ決済を利用しているとされる。日本でも中国のモバイル決済サービス「支付宝(アリペイ)」を導入する企業が相次ぐ。

 イオンリテールは18年春から中国からの訪日客の利用が多い店舗で対応を始める。順次、導入店を増やし、300店以上での対応をめざす。アリペイのサービスの利用可能な店舗は家電量販店や百貨店、ドラッグストアにも広がっている。

 政府は東京五輪が開かれる2020年までに外国人が訪れる主要な商業施設や宿泊施設、観光スポットで決済端末のIC対応を100%実現する目標を掲げる。キャッシュレス決済のインフラ整備が進むのをにらみ、ネット企業も動く。

 LINEは20年にもスマホで決済できる店を100万店に増やし、対話アプリ内のサービスとの相乗効果を狙う。同社はQRコード型に対応する。米アマゾン・ドット・コムは日本で18年以降に店舗での買い物の代金をスマホで払えるサービ始める。

 ソニーはフェリカを先行して日本でサービス展開してきた利便性を、消費者やスマホメーカーに訴求できるかが課題となる。

[日本経済新聞朝刊2018年1月16日付を再構成]

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