マネー研究所

投資道場

1位に楽天の「全世界株式」 個人が選ぶベスト投信 トップ10、6投信が入れ替わる

2018/1/18

上位入賞会社からは経営幹部が発表会に出席することが多い

年に1度、個人投資家自らが優れた投信を選ぶ「ファンド・オブ・ザ・イヤー2017」の発表会が13日に都内で行われ、数多くの個人投資家が詰めかけた。積み立て方式の少額投資非課税制度(つみたてNISA)を機に超低コスト投信が増えていることを反映し、上位10投信のうち6投信が前年と入れ替わる激戦だった。1位となったのは年間の保有コスト(信託報酬)が0.24%という低さで全世界に投資できる「楽天・全世界株式インデックスファンド」だった。

投票したのは投信に関するブログを書いている投信ブロガー198人。投資を続けながら独自に勉強を重ねている「目利きの個人投資家」たちだ。30~40代で商社、通信、金融など様々な業種で働く会社員が主体。ブログの閲読者が月数十万人を超えるブロガーも多く、運用会社が彼らを招いて意見交換をするなど、影響力も高まっている。

主催者の一人、rennyさん(ハンドルネーム)などが「金融機関で薦められる『売れ筋』投信と、僕ら個人投資家が評価する投信との差が大きく、自分たちから見たベスト投信を発表しよう」と始めた。今回は11回目だ。

■1本で全世界に投資

1位の「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」は17年9月の新規設定。単に保有コストが低いだけではなく、対象が従来の一般的な海外株投信に比べはるかに幅広い。投資対象は米投信会社バンガード社の上場投信(ETF)であるバンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)だ。先進国と新興国、大型株だけではなく中小型株まで網羅するFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスという指数に連動する。

VTそのものは日本でも海外ETFとして個人も購入でき、今回の投票でも9位。ただETFは定額での積み立てや分配金の自動再投資が原則できないなど、取り扱いに不便なところがある。それを通常の投信の形で買えるようにしたのがこの楽天の商品だ。投票したブロガーからは「海外ETFに比べ手間がかからないのがいい」と歓迎の声が多かった。

この賞は、運用業界でも年々注目が高まり、上位入賞会社からは経営幹部が発表会に出席することが多い。楽天投信の東真之社長は「つみたてNISAの始まりもあり、投資家の皆さんに役立つことをしたかった。投資家に直接選ばれたことは大きな栄誉であり大きな責任と感じている」とあいさつした。

■アクティブ型、最上位は6位のひふみ投信

2位の「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」は昨年まで3年連続トップを達成していた投信で、今回は1位は逃したが4年連続のベスト3。昨年11月には信託報酬を0.19%にするなど、3年連続での信託報酬引き下げなどが評価された。

ニッセイアセットマネジメントの上原秀信取締役は「残高が増えることに応じて(信託報酬を引き下げることで)利益を投資家と分かち合うことをこれからも心掛けたい」と語った。

この賞の上位にはインデックス型が選ばれやすい。投信のリターンは投資家がコントロールできないが、コストの低さは確実に成績向上に結びつくからだ。もちろんアクティブ(積極)運用で成功すればコスト差などはるかに上回る成績を得られるが、長期で勝ち続けるアクティブ型投信を事前に選ぶことの難しさを、多くのブロガーは熟知している。

そんな中でトップ10に入ったアクティブ型投信は、昨年と同じ第6位のひふみ投信。独立系投信会社のレオス・キャピタルワークスの運用だ。一部外国株にも投資するが、主な対象は日本の中小型株式だ。ブロガーからは「卓越したパフォーマンスと、それを支える投資先の調査と選定の緻密さ、個人投資家との定期的なコミュニケーションなどが優れている」との称賛の声があった。

■コスト、業界最低水準を目指す

5、7位の「eMAXIS Slim」シリーズは同じ分野で他社が低い信託報酬を打ち出せば追随して最低水準にすることを打ち出している。「方針通り、他ファンドが下げた場合、追従して下げているのは評価できる」との声があった。

10位の「iFree S&P500インデックス」は、金融庁がつみたてNISAの開始前に個人投資家と意見交換会をした際に「米国株指数であるS&P500種株価指数のインデックス投信がほしい」という個人からの要望が出たことに反応して、大和投資信託委託が急きょ設定した新投信だ。

昨年もベスト10に入っていたのは2、6、8、9位の4本だけ。その他は昨年発表以降の新規設定で、コスト、運用対象ともに競争が活発化していることが顕著になっている。

(編集委員 田村正之)

マネー研究所 新着記事

ALL CHANNEL