冬太り対策は「水」 正しい水の取り方・使い方
冬はおいしい食事やお酒を楽しむ機会が多くなります。一方で、おなか周りや顔のむくみなど冬太りに悩む女性は多いもの。体の代謝を上げるために水分をたくさん取る女性が増えていますが、正しい水の摂取法は意外に知られていないようです。水の取り方のコツや硬水や軟水の特徴を生かしたレシピをご紹介します。
冬の冷えには白湯がおすすめ
アクアミネラーレ協会アクアアドバイザーで、富士山の銘水マーケティング部の久保田美穂さんに水の摂取法について聞きました。
「人の体は約60%が水分から成り、1日に常温・安静時で呼吸や皮膚から900ミリリットル、尿から1500~1700ミリリットル、合計2400~2600ミリリットル程度の水分が排出されます。水分量が減ってしまうと脱水症状の兆候が表れます」(久保田さん)
固形の食べ物や体内の酸化作用によって補われる水分は1日に1000ミリリットル程度。その他の水分は飲み物で摂取しなければなりません。
「お茶やコーヒーなど利尿作用があるものも摂取することを考えると、水だけで1500~2000ミリリットルの摂取が必要です。一気に取るのではなく、150ミリリットルを1日に10~15回程度に分けて、こまめに摂取するのがおすすめです」(久保田さん)
また、寒い冬の水分摂取の方法として、冷え性の方にとくにおすすめなのが「白湯(さゆ)」をこまめに飲むことだそう。
「白湯は体の内側と外側の両方から温めてくれますので、自分好みの温度の白湯をこまめに飲むことをおすすめします。水分を取り過ぎると太るというイメージがありますが、水はカロリーゼロなので、白湯を飲んで太ることはありません。余分な水分は尿や汗となって排出されます」(久保田さん)
白湯が苦手な人は、お茶やハーブティーでもOK。茶葉の発酵の度合いが強いほど、温め作用も高くなるそうで、緑茶より紅茶、紅茶よりプーアル茶がよいそうです。なお、冷えをそのままにしておくと新陳代謝をつかさどる酵素の働きが低下してしまうとのこと。一般に、体温が1度下がると代謝は12~20%下がり、免疫力は30%下がるそうです。
水分がきちんと取れているかは尿でチェック
ダノンジャパン・エビアンジャパンの花田彩さんも、水分の体への影響を次のように教えてくれました。
「体内の水分が不足すると、血液やリンパの流れに影響し、新陳代謝・体のコリ、冷え、むくみ、免疫力、肌荒れなどが起こりやすくなります。十分な水分補給をすると頭痛やストレスの軽減、スタミナやパフォーマンスの向上が期待できることが調査・研究により明らかになっています」(花田さん)
水分がきちんと取れているかは、尿の色で確認することができるそうです。エビアンジャパンの皆さんはそれを意識して水分補給を行っているそうです。
好みの水で水分補給!硬水・軟水の特徴
水に含まれるマグネシウムやカルシウムなどのミネラル量は硬度という数値で表され、それらの含有量が多いものを硬水、少ないものを軟水と呼びます。採水地によってミネラル含有量が違うのは、土地の地層に含まれているミネラルが違うため。欧米など海外では硬水が主流ですが、日本で採水できる水は、人工的にミネラルを加えていない限り、ほぼ軟水です。
幼い頃から飲み慣れているため、日本人は軟水が飲みやすいと感じることも多く、「軟水はマグネシウムなどの含有量が少ないため胃腸が弱い方や赤ちゃんも安心して飲むことができます」(久保田さん)。
一方、「硬水で水分補給を行うと、しっかりとミネラルも補給できます。ワインやアルコール類を飲むときの水分とミネラル補給にもおすすめ。すっきりとした味わいなので料理や酒の味を引き立ててくれます」(花田さん)。
水によって味わいや香りも違うので、ぜひいろいろ飲み比べて自分好みの水を見つけたいですね。
・スーパーなどで買える硬水のミネラルウオーター例
エビアン、ゲロルシュタイナー、コントレックス、ペリエ
・スーパーなどで買える軟水のミネラルウオーター例
ボルヴィック、いろはす、南アルプスの天然水、クリスタルガイザー
パスタをゆでるときに! 硬水活用レシピ
水はそのまま飲むだけでなく、料理にも活用できます。「その土地の水に近いもので料理をすると、近い味に仕上がります。例えばパンをつくる際に硬水を使うと、フランスで食べるパンに近いものができるといわれています」と花田さん。欧米に多い硬水は、とくに洋風料理とよく合います。
試しに硬水と軟水で別々にイクラと鶏肉のジェノベーゼを作り、食べ比べてみました。硬水のほうが軟水に比べてコシのあるパスタにゆで上がり、ジェノベーゼソースもよくからみ、高級店のような弾力のあるパスタに仕上がりました。
1.鍋に硬水を沸騰させ、鶏肉・パスタ・塩を入れ、パスタの表示時間に従ってゆでる。
2.大葉・松の実・エゴマ油・ニンニク・粉チーズ・塩をフードプロセッサーでかき混ぜ、ジェノベーゼソースを作る。
3.1をざるに上げ、よく水切りする。
4.2のジェノベーゼソースとよくからめ、皿に盛る。
5.イクラとバジルを添える。
鍋にもバッチリ!和食に合う軟水活用レシピ
軟水は無味無臭で苦みや香りを感じないため、風味を生かしたハーブティーや、だしの風味を生かした肉ジャガや鍋、おでんにもよく合います。
今回は、軟水と硬水で別々に豚肉の豆乳鍋を作り、食べ比べてみました。硬水に比べ軟水の豚肉の豆乳鍋のほうが、野菜や肉の素材の味がダイレクトに感じられ、深みのある味わいの鍋が出来上がりました。
1.鍋に無調整豆乳・軟水・野菜ブイヨン・しょうゆを入れ、よく煮立てる。
2.白菜・長ネギ・きのこをよく洗ってから切り、1に入れる。
3.2がしんなりと煮立ったら、豚肉を入れ煮込む。好みでうどんや雑炊を入れる。
寒い時期は家にこもることが多くなりがち。新陳代謝を高めて冬太りや冷えを解消するためにも、こまめな水分補給や、硬水と軟水の特徴を生かした料理を取り入れてみませんか。
(取材・文 GreenCreate)
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