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「社会貢献」で欧米人つかむ 原宿のプチホテルが攻勢 テイクアンドギヴ・ニーズ、地産地消やエコ前面に20カ所めざす

2018/2/3 日経MJ

「トランクホテル」の第1号は原宿のキャットストリートのほど近くにある

 テイクアンドギヴ・ニーズは社会貢献をテーマにしたホテル「トランクホテル」を多店舗展開する。2017年5月に東京・原宿に開いた第1号は宿泊単価が平均約6万円と高めだが、地産地消やエコ素材を使ったスタイルが欧米人の支持を集めて、稼働率は約90%で推移している。古い建物をリノベーションしたり商業施設を併設したりして、25年までに10店舗の展開をめざす。

最も大きい客室は1泊60万円で、最大8人が宿泊できる(東京・原宿)

 トランクホテルは同社子会社のトランク(東京・渋谷)が運営する。原宿にある第1号のホテルは全15室で、ほかに結婚式もできる宴会場が4つ、チャペルが1つある。レストランや売店も併設する。

 部屋のマグカップやハンガーなどの備品にはリサイクル原料を使用した。部屋のスリッパは使い捨てを防ぐため、持ち帰り可能なビーチサンダルにした。家具には古材を多用したほか、宿泊者に貸し出す自転車は放置自転車のパーツを組み合わせてつくった。

 売店では渋谷周辺の飲食店が作った無添加おにぎりやサンドイッチ、都内で醸造された日本酒などをそろえる。こうした取り組みが海外で話題となり、英国の情報誌「モノクル」や米国の経済誌「フォーブス」に取り上げられた。現在は宿泊客の7割が外国人で、その8割が欧米人という。

 トランクホテルが社会貢献にこだわるのは、消費や価値観の変化を反映している。最近では、物質的な豊かさよりも、人間同士の交流や社会的なつながりを重視する人が増えてきている。そんな社会の変化を捉え、「社会とつながる接点」のホテルとなることを目指す。

 海外ではすでに、地域貢献や社会とのつながりをテーマにしたホテルが増えてきているが、日本ではまだ珍しい。テイクアンドギヴ・ニーズの野尻佳孝会長は「ホテル業界にムーブメントを起こしたい」と意気込む。

◇  ◇  ◇

 テイクアンドギヴ・ニーズの本業は結婚式の企画だ。異業種からのホテル参入では、人材確保と教育が大きな課題となる。野尻会長に対応策を聞いた。

テイクアンドギヴ・ニーズの野尻佳孝会長

 ――ホテル業界では人手不足が深刻だ。

 「従業員の約半数は他の高級ホテルやレストランなどから移ってきている。マニュアルを最小限に抑え、権限を現場に持たせて個性を尊重している。個性を生かすことで新たなサービスが生まれる。従業員によって接客が違う方がお客さんに喜ばれることもある」

 「月に2回ほど各部署のメンバーが集まってざっくばらんに話し合い、会社の方針を決めている。(17、18年の)年末年始に個人の生活を尊重して休業する方針もこの会議で決まった」

 ――従業員の研修は。

 「1人当たり年間40万円程度の研修費を用意している。場所や内容などを提出し、認められたら支給される。個人の成長のために使ってほしい。5日間、アメリカの高級ホテルに泊まりホスピタリティーやデザインを学んだ人がいる。優秀な社員を海外研修に招待する制度もある。従業員に投資をすることが、最も会社の成長につながる」

(長尾里穂)

[日経MJ2018年1月15日付を再構成]

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