カッとなったら6秒待つ 筋肉ほぐす体操にも効果
「怒り」との正しい付き合い方(下)
日常生活でイラッとしてしまう瞬間は誰しもあるもの。しかし、怒り方を間違うと、自分を取り巻く人間関係に支障が生じてしまう。怒りを上手にコントロールする方法などを3回にわたって解説する。3回目は怒りをやり過ごす具体的な方法について見ていこう。
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カッとなりやすく、反射的に怒りがちなヒトには、あえて数秒、笑顔を作るといった「その場セラピー」が有効だ。「怒りのピークは6秒間といわれ、カッとなったときでも6秒間をやり過ごせれば、衝動的な怒りを抑えられる」と日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介さんは話す。
怒りに隠されているマイナスの感情を「心のコップ」にためすぎないように、適度なストレス解消も必要。下の「怒らない体操」は、リラックス効果があり、心のコップを大きくすることにも有効だ。
「怒らない体操」は、筋肉をほぐすというアプローチで自律神経を整え、心にリラックスをもたらす。続けることで「怒らない体質」に変わっていく。「漫然とやるのではなく、怒りをコントロールするためにやっていることを意識してほしい」と安藤さん。
月経期間と相関があれば婦人科へ
セルフケアで衝動的な怒りをかわせないときは、医療機関の助けを借りることも考えてみよう。「女性の場合、女性ホルモンの影響で怒りっぽくなることも。月経の1週間前ごろに集中的に怒りのトラブルが起きるのなら、月経前症候群(PMS)の可能性がある。コントロールできない怒りを感じた日付をチェックして婦人科を受診したい」と神田東クリニック院長の高野知樹さん。PMSが背景にあるなら、月経前に重要な仕事を入れないように調整し、パートナーにも事情を伝えて、対立を避ける工夫を。
一方、「月経周期には関係のない怒りで、会社でしょっちゅうトラブルを起こす、子どもを叩いてしまうなど、日常生活に支障をきたすようなら精神科や心療内科の受診を」と高野院長。治療は主にカウンセリングで怒りの背景にある感情をヒアリングするとともに、睡眠の質を高めるなど生活習慣の改善をアドバイスするという。
神田東クリニック(東京都千代田区)院長。日立製作所健康管理センター産業精神科主任医長などを経て、2009年12月より現職。医学博士、日本精神神経学会認定精神科専門医・指導医、労働衛生コンサルタント。
日本アンガ-マネジメント協会代表理事。アンガーマネジメントコンサルタント。2003年に渡米し、アンガーマネジメントを学び、日本に導入した第一人者。企業、教育現場、医療機関等で数多くの講演、研修を行う。
(ライター 海老根祐子、構成:日経ヘルス 羽田光)
[日経ヘルス2018年2月号の記事を再構成]
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
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