ラグビー部OBも海外に駐在 ヤマハ発会長の人材活用
ヤマハ発動機の柳弘之会長(下)
ヤマハ発動機の柳弘之会長
スポーツ選手には誰しも引退の時期が訪れる。ヤマハ発動機の柳弘之会長は、「経営者として、選手が現役でやれる間は目いっぱいプレーできる環境を提供しなければ」と心がけ、引退後のセカンドキャリアにも気を配る。自身もリーマン・ショック後の2010年から務めてきた社長の職を18年1月1日付で退き、バトンを日高祥博氏に渡した。「これからは会長、つまり『監督』としての仕事が増える」と話す柳氏に今後の役割を語ってもらった。
ラグビートップリーグ「ヤマハ発動機ジュビロ」の選手は50人ほど。ほとんどがヤマハ発動機の社員だ。
選手は、人生の大半の時期をスポーツに打ち込んできた人ばかりです。そんな彼らにも必ず引退というタイミングがやってきます。だからこそ、経営者として彼らが現役の間は、目いっぱいプレーできる環境を提供したいと思ってきました。この数年、クラブハウスを造るなど様々な改善をしてきたのも、そういう気持ちからです。
選手としての活動に終わりがきても、ビジネスの場面で輝ける人たちはたくさんいます。彼らが活躍できる場を提供し、今度はビジネスで成功してほしいと思います。
選手には、いつか愛着のあるグラウンドを去る日が訪れる(静岡県磐田市にあるヤマハ発動機ジュビロのホームグラウンド、ヤマハスタジアム)
曽我部佳憲君という選手がいました。早稲田大学時代に大学選手権優勝に貢献し、サントリーを経て当社で活躍しました。16年に引退した彼を二輪車の営業としてインドに駐在させたんです。
彼には、南部の田舎のあたりを担当してもらったのですが、そこでインドの学校を回ってタッチラグビーを広める活動もしているんです。かつて主将を務めた久保(晃一)君もブラジルに駐在しました。
15年から、現役を引退したラグビー選手をインドに送って研修させるプログラムを始めています。引退後のセカンドキャリアづくりに向けて、一度海外の現場を見てこいとね。そこでうまくいきそうな人は、駐在してもらうんです。今、ラグビー部のOBのうち20人ほどが海外に駐在しています。